ソニーグループへの損害請求・20億円?と不動産のメタバース

 「ソニーグループが共同運営のおうちダイレクト」で、何回も出てくる広告に、「AI査定価格が7057万円から7331万円」という物件がある。

 

 どうみても1000万円はしない物件だ。

 

 日本人はバカらしくて相手にしない話だが、外国人の中には「バカらしい」では許さない会社もあるだろう。「自分はバカです」と公言している会社があれば、バカがお金を持っているのならつけ込んで一儲けしてやろうと考える訳だ。

 例えば「ソニーの査定を信じた為に損害を受けた」という主張をする。あれこれまぜれば「20億円」くらいの訴えにできるだろう。冒頭の物件をソニーの査定額、そのままの7000万円で買ってこれで損をしても、十分なおつりが来る。何よりも「世界のソニー」を訴える訳だから、他にもいろいろな分野を絡めた訴訟に出来、いろんな角度の交渉ができる。所謂「しゃぶれる」わけだ。

 

 ソニーはこんなあほらしいことで世界中に知れ渡りかねない赤恥のタネを提供している状態だ。

 もう少しましな弁護士に頼んで不動産の世界での「査定」という言葉を吟味した方がいい。

 

 ソニーの不動産ビジネスの将来的方向性だが、これぞ「ソニー向け」というものが急浮上してきた。「メタバースにおける不動産業」だ。

 当方、毎日、英字新聞をオンラインで5紙チェック、ただし全部は見切れるはずがなく、不動産ビジネス関連の記事が出てくる可能性がある面しか見ていない。

 

 「メタバース」関連の記事は以前はたぶん「IT面」に出ていたのではないかと思うのだが、11月ごろから突然、大量の記事が私の目にとまるようになった。当方には関係ないだろうと思いつつちらちらみていると「不動産」とか「家賃」といった単語が目に入る記事がいくつか混じっている。

 これはなんじゃらと読むと、そこにはまるで不動産ビジネスと同様な世界があった。

 

 例えば、メタバースにアバターを置いている人間はコンピュータ・ゲームに親しむ人間が多いのだが、コンピュータ・ゲームでは自分の分身のプレイヤーが「着飾る」のだそうだ。彼らはメタバースでも自分のアバターに「着飾らせ」、その衣装や靴を仮想通貨で売る「店」が成り立っている。さらにブランド品の「衣装や靴」は高い値段で売られていて、これらには暗号による複製防止が施されている。限定版を買っておけば希少価値から将来、暴騰する可能性があるわけだ。

 「砂漠の中に出現したラスベガス」のように、今、メタバースの空間に境界杭を打って何だか分からないが何かを確保しておけば、将来大金持ちになりうるという話なのか?

 

 マジか? こんな話が私にわかる訳がない。コンピュータ・ゲームで「衣装を着せる」という点でもうついていけない。「メタバースの世界にある店舗」にも立地の良し悪しがありそうだというのはさらにわからない。そもそもコンピュータ・ゲームでは小学校の運動会と同様、体操服のゲーム版を作って全員に着させるのが合理的そうだし、その上で「技」で競う物ではないのか? 

 この世界なら宅地建物取引業法も広告規約もないし、公正取引委員会も当分出てこない。民法のうるさい解釈もないだろうし刑法(2021.12.23追記)もあんまり心配しなくて良さそうだ。そもそもソニー向けだ。

 

   (2021.12.23追記)ソニーは刑法関連では「詐欺罪」を不動産ビジネスで犯しそうだ。 

 

  (参考:2021.12.18追記:メタバースと不動産関連の記事:末尾に記載)

 

 私にメタバースが分かる訳がないように、ソニーにリアルな不動産が分かるはずがない。

 

 逆も真だ。大昔、トヨタ自動車は「プレハブ住宅」に進出、呆れるほど長い年月をかけてもうまくいかず撤退した。松下幸之助氏とグリコの江崎利一氏は富士南麓の大規模農地開発を試みて行き詰まり私が勤務していた会社がこの事業を引き継いだ後に後始末をし、小佐野賢治との死闘の末にこれは談合坂サービスエリアとなった。経営の神様・松下幸之助氏から手腕を大変褒められたそうだ。東芝はプレハブ住宅と都市開発で失敗し私が勤務していた会社による後始末が同社の堀川工場を巨大SCのラゾーナ川崎とする一助となった。ゼネコンの不動産業進出に成功例はない。

 製造業会社の不動産進出に成功例はほぼ皆無で、ソニーは過去のこれらの死屍累々を学ばずに自分たちなら成功できる、業界の変革を実現できると思い上がっているのだろう。歴史に学ぼうとしない姿勢からは極まりない浅はかさを感じるが、その独善さはたぶん製造業でなら長所なのだ。

 ソニーはこのままではリアルな不動産ビジネスでバカにされる度合いが深まるだけだ。名経営者となるはずの平井さん?は「実は異業種である不動産ビジネスを見間違えて深入りしたとんでもなく愚鈍な経営者だった」という評価になりかねない。 

 

 お金の面ではもっと深刻だ。

 平井さん?個人への「株主」からの損害請求額はこのままでは一声、100億円規模か。

 ソニーの総務管掌役員個人は他社(SRE)による自社の商号使用状態を放置して「ソニー」のブランド価値を棄損させている。これは職務懈怠による損害であり請求額は一声、5億円規模か。

 最近はこういうのをファンドでやるらしく、単位株さえ持っていれば無一文で訴訟を起こせる。

 平井さん?が後ろ盾になっているために社内の誰もソニーの不動産業への深入りを止めれず、「ソニーのAIは愚鈍だ、ソニーはバカだ」と言われ続ける。

 十分にソニーのブランド価値の棄損が生じている。株主が「平井氏?は立場を利用してソニーのグループ経営方針から外れた不動産ビジネスに肩入れし、さらにブランドの棄損でソニーへ損害を与えている。従って平井氏?個人に損害賠償請求をする」というスジで「一声、100億円」と予想するわけだ。だめかね?

 

 ソニーの不動産ビジネスにおける「(平井氏?の)かくれんぼ」問題はそろそろ隠しきれなくなっている。親子ともに上場しているので株はいくらでも手に入る。さらに子供はこちらの領分である不動産業だ。攻めようはおいしいくらいにいくらでもある。

 お二人は役員保険の約款を読んで、本当にどこまで払ってもらえるのかも見ておいた方がいい。

  

「ソニー」の名に泥をぬる「AI」=おうちダイレクト

 

メタバース関連の補足==上記のすでに商売を始めて大儲けしているラグジュアリーブランドがあるという話は、まだ日本語にはなっていないようだ。

(Yahoo News 2021.9.20)

世界が注目する「メタバース」で、日本企業は独自の存在感を見せることができるか

 

 

(2021.12.18追記:「メタバースと不動産」関連の記事)

メタバース:仮想現実の世界の不動産取引が増加する 

(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2021.11.30・火)

 メタバースで、デジタル・仮想的存在の土地や住宅、店舗の売買が活発化し、メタバースで不動産開発をしているリパブリック・レルムはサンドボックスから430$(4.90億円)で土地を購入した。土地の所有権は所謂「非代替可能トークン」により事実上のディード(:権利証に類似)で保全される。売買は仮想暗号資産で行われる。

 

メタバース:砂漠に誕生したラスベガスに似た誕生の仕方? 

(フィナンシャル・タイムズ電子版 2021.11.27・土)

 メタ・プラットフォーム(旧フェイスブック)が主導権を取ろうとしているが「メタバース」を説明する事は難しいが、今の所はゲームの世界からビデオ会議までの雑多な物が互いに接続しあわずに存在している。極端な人は「現実世界は腐敗し不公正だがここでは全てがうまく行っている」と言う。ラスベガスの成立過程が参考になる。

 

メタバース:ナイキがメタバースの世界で独自の展開 

(ブルームバーグ 2021.11.19・金)

 ナイキがビデオゲーム・プラットフォームのロブロックスと組んでメタバースの世界で「ナイキランド」を開く。これはバーチャルな世界でのドッジボール他を無料で遊べる。ナイキはデジタル版のナイキのスニーカー、絵アマックスや帽子、リュックサックをプレイヤーに売るが、既に7件の特許や商標権を申請済みだ。

 

メタバース:ラグジュアリーブランド会社群は既に店舗で儲けていた 

(ブルームバーグ 2021.12.9・木)

 デジタルなデパート店をメタバースで開き、バーチャルな服やアクセサリーのラグジュアリー品が売られている。銀のセーター・121(1.57万円)3時間で売り切れ、買い手は非代替性トークンで保護される。現在メタバースにはオンライン・ゲーム内での「見てくれ」を重視するゲーマーが多く、それがメタバースに移植されている。

 

メタバース:リアルな世界の資産の中でトークン化できる物は何か 

(フィナンシャル・タイムズ電子版 2021.11.30・火)

 現実世界の資産の「トークン化」が不動産で起きている。2019年にはベルリンの会社が200万€(2.58億円)分を含む不動産ビークルをトーク化した。今は米、独、スイス等17ヶ国41社が不動産のトークン化を試みている。

 

メタバース:ソフトバンクもアジアのプラットフォームへ投資 

(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2021.11.30・火)

  ソフトバンクはアジアで最も賑わっている韓国のメタバース・プラットフォームへ1.5$(171億円)を出資した。ネイバーが運営するゼペトで一日200万のアクティブユーザーがありグッチやディオールも売られている。