中国のバブル、土俵際で徳俵に足を載せて踏ん張り、右へ旋回中

本号は事情により簡略版 

 

 GICが汐留シティセンターのほぼ大半である持ち分を売る予定だ。

 「フィー・デベロッパー」としてデベロッパーの代わりをしようとしたデベと

  デベロップメントの発注先としてのデベロッパーを期待した齟齬が昔、あった。

 

 中国が「徳俵に追い詰められながら半周してまだ落ちていない」という状態になっている。往年の貴ノ花対小錦戦()をほうふつとさせる。

 

 中国のバブルは本来はとうの昔につぶれていた筈なのになまじ日本のバブルつぶしの政策的大失敗から学んでいたために、つぶれるのを防げてもってきた。

 しかし時間稼ぎの最中に、バブルは一段と大きくなってしまったようだ。

 

 寒気がするのはマレーシア南端で行ったフォーレストシティだ。

 これは同封の補足資料を参考の事。

 日本の「廃墟温泉ホテル」の悲惨さの規模が「1000倍!」という感じだ。

 

 なお「中国の不動産の公式統計は実態とかなり異なる」という話も重要だ。

 現地からのディスカッションのYouTubeのページは次の通り。

China’s Housing Slump Is Much Worse Than Official Data Shows

    https://www.youtube.com/watch?v=FMWXrDiRGH4

 

中国:リーマン・ショック再来の懸念がある 

(WSJE 2023.8.18・金)

 一部の元利払いの停止をした中融信託は中植企業グループの一社だが、中植企業は非上場であり開示情報が少ない。投資家に対して期間半年から1年の金融商品を販売、利回りは以前は最大15%を約束していたが、最近は7-8%で、デベには銀行より高い利率で貸していた。投資資産における不動産の比率は現在は11%に減少した。

中国:終焉を迎えた40年に及んだ好景気 

(WSJE 2023.8.20・日)

 コロナ対策が終了したのに巨大なコロナ罹患者収容施設の建設は続いている。製造業も輸出も最近は大きく下落、この様な(完成しても無用となる)施設でも建設をしなくては公共建設投資先がないのだ。中国のインフラ等の物的投資はGDP44%と世界平均の25%より遥かに大きい。バイデンは中国を「時限爆弾」とした。

中植企業:急速に問題化した「中植企業」と傘下の「中融信託」 

(FTE 2023.8.10・木)

 先週、高利回りを謳っていた商品の利払いが出来なかったのは中融信託(Zhongrong)だが、同社の主要株主が中植企業(Zhongzhi)だ。中国全体の資産運用商品は23兆元なのだが不動産会社へは何社も経由して資金が流れているので実態が分からない。中融信託では総資産6290億元(**兆円)1割強が不動産関連と見られる。

中植企業:隠されていたリスクがシャドー・バンク危機として噴出した 

(BB 2023.8.18・金)

 先週の小さな変調の後に、突然注目され始めた中植企業は1兆元(20兆円)強を運用管理する。預金者達が詰めかけた為に警察も出動した。同社は1995年に材木会社としてスタートし、印刷業を経てハイリスク・ハイリターンのディストレスト投資になった。中国のいわゆる「信託ビジネス」は2017年がピークで以降下落している。

中国不動産:政府が発表する「公式統計」より不動産の実態ははるかに悪い 

(BB 2023.8.17・木)

 中国では新築住宅価格は2021年のピークから2.4%しか下落していないが、実感は大きく異なる。習近平体制下では当局者でも市場の正確な数字を掴んでいない。米ケースシラー指数が全数調査だが中国の統計はサンプル調査でここに恣意が入り発表数字が市場の実態と合わなくなる。大都市では年15%20%の下落をしている。

中国不動産:不動産危機の拡大で倒れる寸前になる 

(NYT 2023..20・日)

 中国では30年間続いた都市集中で住宅を幾ら建設しても追いつかず、永遠の経済成長が続くかの様に思われて来たが、3年前からのデベへの取り締り強化で状況は暗転、今はスパイラルな下落中だ。現在の問題を起こした最大の原因は政府の「何があろうと成長が最優先」という施策だ。問題はシャドーバンキングにも広がっている。

中国不動産:恒大集団の国内部門・中国恒大を証券当局が取り調べに 

(BB 2023.8.16・水)

 香港上場である恒大集団の本土部門である中国恒大(Hengda Rea Estate)に対して、中国の証券規制委員会が企業情報開示違反の疑いで取り調べに入る。

中国不動産:恒大集団、アメリカで債務リストラの訴えを起こす 

(WSJE 2023.8.17・木)

 2021年にデフォルトを起こしていた恒大集団はアメリカの連邦破産法第15章申請をニューヨークで起こした(15章」とは国際倒産を扱う章)。これにより同社の香港、英領バージン諸島、ケイマンに影響する。

碧桂園:同社への最後の「買い推奨」が落とされる 

(WSJE 2023.8.17・木)

 ジャフェリーズ・フィナンシャルが「買い」から「保有継続」に落とし、これで国際的大手は全て格下げした。

碧桂園:当局の支援方針で不振状態にあるデベ株群が急騰 

(BB 2023.9.6・木)

 水曜、デベ株は急騰、特に融創中国・68%や恒大集団83%の上昇が目立った。当局の施策発表で株価に「底」が見えている。しかし相次ぐデフォルトの発生で極端に安値となっている所謂「1ペニー株」が株価を押し上げた面があり、碧桂園が21%上昇しても額は7.5$(**億円)にしかならない。ジャンク債の価格は変動がなかった。

碧桂園、時間稼ぎを出来たがそうは長くは続かない 

(WSJE 2023.9.5・火)

 碧桂園はボンドの利払いの猶予を得て、流動性問題に若干の時間稼ぎができた。株価も月曜は15%の上昇をしたが殆どのドル建て債は10¢以下だ。先週の木曜日の当局からの市場支援策の発表について週末にかけて好感が広まった。販売中の物件のショールームへの人出も好調だった。当局の施策は少なくとも一時的には効果が出た。

碧桂園:次に迫る社債返済問題の試練は来週月曜から 

(BB 2023.9.6・水)

 とりあえず試練を乗り切った碧桂園の社債返済問題の次の試練は97-11日の間の投票だ。最も火急な物は14.35億元(287億円)の証書でプット・オプションで投資家が返済要求を行使できる914日だ。少額な物や猶予期間切れが到来する物が合計で2250$(32.7億円)ある。924日は20億元(400億円)がプット可能になる。

 

 

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

 

http://www.japan-transnational.com/