大連万達、香港子会社のIPO許可が得れず資金計画が急転悪化、「恒大集団」の二の舞も起こりうる

 盤石な不動産デベに見えていた大連万達だが、子会社の香港上場が認められず、瞬く間に危機となった。2年前の投資家宛の上場前割当てで得た資金をこの香港上場により得る資金で返済するつもりだったが出来なくなり、資金繰りが悪化した。恒大集団と似たプロセスだ。

 

(大連万達と中国関係の記事の抄訳は末尾)

 

 中国は各主体がみな「債務削減」を図り、バランスシート型の景気後退に入りつつある。

 

 中国に進出したファンド群はデータシェア規制他で、仕事にならない状態。

 

 アメリカのビル市場はロサンジェルスとサンフランシスコで特に悪化、マンハッタンでもブラックストーンやシルバースタインが最高ランクの物件は手元に残し、それ以下の物件を昔の50%から70%程度の値段で売却した。市場全体がこれほどの下落をしているかは不明。

 

 全米の大都市中で最も悲惨であるサンフランシスコでは、オフィス群に加えてパークホテルが所有ホテル2棟・約3000室でローン返済を止め、ウニベイル・ロダムコは大型モール、ウエストフィールドをレンダーに引き渡す。市長の屋外集会では投石が投げ込まれた。

 

 WeWorkはビジネスモデルに無理があり破たんの可能性が高い。同社には救済話や提携話が持ち込まれたのだが孫CEOがこれを認めなかった。反対理由は不明。破たんの場合は大量の床が空き、特にニューヨークとサンフランシスコでオフィス市場に影響する。

 

 オフィス復帰が進まない理由には通勤費用(電車代が高い上、自己負担)や育児の外注費の発生といった金銭的理由が大きかった。「出社せよと言われたら転職する」と言っても今は不利な転職先しかない。ある金融トップは「リモートワークはだめだった」と結論している。

 

 金利上昇で、キャッシュベースで赤字という賃貸マンションが増加している。賃貸マンションの新築による新規供給は今後1年半で急増するが、家賃はもう伸びが急速に鈍化し、一年前は年15%上昇だったが今は年2.6%上昇だ。サンベルトではもう上昇は止まった。

 

 物流施設の余剰が本格化しそうだ。サプライチェーンが混乱していた時に比べて小売業各社の倉庫需要が減り、消費者の迅速配達の要求が弱まりでここでも倉庫需要が減少、さらに消費者の支出が「モノ」から「サービス」に向かやった事でも倉庫需要が減少した。

 

 マイアミへは安全だと富豪は言っているが、犯罪が多い事を単に知らないだけだ。

 

 収まったかに見えたアメリカの地銀・小規模行の危機だが、依然、問題は残っている。

 

 ロンドンでもオフィス市場は悪化している。保有ビルがシティ地区に多いブリティッシュランドが特に苦戦、ウエストエンド地区に多いグレイト・ポートランドの方はまだマシだ。

 

 ポルトガルへの不動産投資はアメリカ人にも人気があったが、黄金ビザ制度のポルトガルへの不動産投資全面的に近い廃止でアメリカ人からの人気は無くなった。

 

 建築家の安藤忠雄氏(81)が何回も登場した。品質も価格も非常に高いコンクリートを多用した住宅が氏の代名詞で、一部のセレブや富豪がカルト的ファンとなっている。ロサンジェルスのマリブで氏設計の超豪邸が2$(280億円)で売れている模様だが、詳細は未詳。

 

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

http://www.japan-transnational.com/

 

(大連万達と中国関係の記事の抄訳)

中国不動産・大連万達:恒大集団騒ぎの二の舞となりかねない 

(ブルームバーグ 2023.6.5・月)

 昨年、中国デベのドル建て債の新規発行はデフォルトの記録的多発により停止していた。再開第1号として2月に大連万達が発行したジャンク債は今は僅か40¢だ。同社は香港子会社の新規上場の延期で、2年前に投資家群が出資したIPO前割当の返済原資がない。恒大集団も子会社の上場失敗でIPO前割当の返済に行き詰った。

中国不動産・大連万達:非上場の金融会社からの借り換えを協議 

(ブルームバーグ 2023.5.25・木)

 大連万達は2.75$(383.0億円)の借り替えについて、非上場の金融会社とも協議をしている。アレンジャーはクレディスイスだ。大連万達は過去数ヶ月間、中国ハイイールド債の中で最も懸念されているが、以前はハイイールド債(ジャンクボンド)の各社の中で数少ない「質が高い」と目されていた。大口の資金返済が迫っている。

中国不動産・大連万達:創業者が陣頭に立って危機に立ち向かう 

(ブルームバーグ 2023.6.13・火)

 大連万達の王健林氏は死屍累々の不動産業界での数少ない生き残りと見られていたが、香港市場での子会社のIPOがなかなか認められない。このIPOで昔行った上場前投資家割当の返済資金にする予定だったが一挙に資金繰りが狂った。大手国営銀行はもう同社にはいい顔をせず、中小行を回って資金を調達している。

中国:こんな規制があっては海外のファンドは中国では仕事にならない 

(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2023.6.10・土)

 2019年に中国での海外のファンド運営が解禁され、ブラックロック等多数が進出した。しかし中国国内と海外の本社とのデータ共有が制限され、本社が世界全体のリスクを見渡せない状態だ。共有制限対象のデータには個別株への投資、クライアント名、Zoom会議等と広い。10年前に国内企業を念頭にした制定された規制が根拠となっている。誰でもすぐ投獄される国なのでファンドは仕事をおっかなびっくり状態で仕事をしている。集近平の目標は「共同富裕」から「世界の主導国となる野望」へ格上げされ、これ等が取り締まりの末端では予測不能な逮捕・投獄を生む。

中国:「バランスシート型リセッション」への対処方法は分からず 

(ブルームバーグ 2023.6.13・火) 

 中国では多くが借金減らしに励んでいてこれはバランスシート型リセッションを呼ぶ。当局は今までの多くの景気対策の効果がでないので弱気になっている。インフラ投資は地方部の不採算な物が多く財政支出額の3分の1しか税収増がないという状態だ。2015-18年に行った財政支出を伴うスラム再開発を再度やる事になるだろう。