孫CEOの「徳川家康・三方ヶ原の絵」に海外メディアは失笑

 ソフトバンクの四半期赤字「3.16兆円」の公表の際に孫CEOが持ち出した「三方ヶ原」の徳川家康の絵の海外メディアからの評価を下にまとめたが、その前に注釈が必要だ。

 ★従来、孫CEOが用いてきた絵の中で、特に失笑を受けたのは次の二つだ。

・「金の卵たちを幾つか抱いているガチョウ」

・「新型肺炎の山並みを飛び越えるユニコーンの群れ」

 ★孫CEOの呆れられた発言

・イエスキリストも、ビートルズも初期は理解されていなかったのだが、自分の今の投資戦略が理解されないのも同じような話だ。

 

 孫CEOを海外メディアが「彼はおかしい」と確信したのは「イエス・キリスト」と「ビートルズ」を自分になぞらえた事だ。

 この発言が出たのは内外のエコノミストや経済記者等への説明が終わり、若干の記者等が残ったタイミング時だったようなのだが、海外の記者にはただちに伝わり世界的な嘲笑を浴びてしまった。

 

 そこで今回の「徳川家康」だ。下心としては「海外メディアにはわからないだろう」ということだったのではないだろうか。

 6月には孫CEOは「モモクリ三年、カキ八年」と言い出した。これは「ナシのバカ者18年」と続くと私は教わった。18年後は孫氏は82才だ。以前に唱えていた「300年計画」というものこれはただの「駄法螺(ダボラ)」としか見えない。

 

ソフトバンク:2四半期連続の超巨額赤字・3.16兆円 

(ニューヨーク・タイムズ 2022.8.8・月)

 巨額の赤字転落で孫氏から「同社の300年計画」の発表時とは一転して地味な表情だった。

ソフトバンク:孫CEO、「徳川家康の三方ヶ原」の絵で釈明 

(ブルームバーグ他を合成 2022.8.8)

 孫氏は決算説明で「金の卵を幾つも抱えたガチョウ」「新型肺炎の渓谷を飛び越えるユニコーン」といった奇抜な絵を用いた。今回は日本を統一した「徳川家康」の絵を用いて、今は我慢の時でまた再興すると示した。孫氏はかつて「自分はイエス・キリストが当初は理解されなかったように自分の戦略は理解されていない」と言ったが、キリストになぞらえるのよりはマシだが、家康にならえば孫氏の「300年計画」は年齢的にもう間に合わない。

 

2022.8.8現在)

ソフトバンク:アリババという「金の卵のがちょう」を失って・・ 

(フィナンシャル・タイムズ 2022.8.5・金)

 ソフトバンクは年初からアリババ株の3分の1以上を売っている模様だ。デリバティブの「先払い先渡し契約」で220$(**兆円)を調達、株の保有オプションを残した。2020年以降に同種の契約で300$(**兆円)を調達、他に60$(**億円)を同社担保で借入れていて、合計で保有アリババ株の80%に既に手が付いている。

ソフトバンク:次なる痛みは投資した非上場株の大幅な下落損失 

(ブルームバーグ 2022.8.6・土)

 ソフトバンクは保有スタートアップ株の急落で大きな損失を出しそうだ。ビジョンファンドでは年間で75%の評価損となる。アリババ株220$(**兆円)も換金した。4-6月期の純損失は4139億円、保有非上場株での損失は80$(**億円)の見込みだが、これらの評価のアップデートは遅めで、上場等も前提とした物もある。

 

202286日締め:グローバル不動産経済研究会資料から抜粋)

ソフトバンク:IT株の下落により、また巨額損失の見込み 

(ウォールストリート・ジャーナル 2022.8.2・火)

 ソフトバンクでは今後、数十億$(数千億円)の損失が出る。ビジョンファンド2の去年の投資ペースは一日1件平均という猛烈さだ。倉庫ロボットの会社への7$(924億円)の投資は1.5$(198億円)に目減り、金融のカラーナには評価額350$(4.6兆円)の時に17$(2240億円)を出資したが、同社の今の評価額は5分の1だ。

ソフトバンク:4-6月期はディール数が前年比で半分に 

(ブルームバーグ 2022.7.21・木)

 ビジョンファンドの4-6月期のディール数は35件と、前年の70件の半分となった。ソフトバンクのディール件数は今後、前年の4分の1に縮小する可能性がある。ベンチャーキャピタル各社は投資先を選択している。

 

ソフトバンク:金融スタートアップへの大型出資が巨額損失になる 

(ウォールストリート・ジャーナル 2022.7.11・月)

 金融スタートアップのクラーナ・バンクはEコマースの拡大で伸びていたが赤字の連続が投資家から嫌われ、直近の資金調達での評価額は暴落した。今回の4.6倍の評価で大口出資したソフトバンクには巨額損失が出る。

ソフトバンク:投資したユニコーン会社の群れが危なくなる 

(ウォールストリート・ジャーナル 2022.7.8・金)

 WeWorkへの巨額投資にミスラ氏は社内で反対していたとされる。孫CEOは企業評価額を引き上げその企業が必要とする以上の額を出し、お金を使って成長を最優先させろとしてきた。これは強気市場でだけ成功するモデルだ。今はクラーナ・バンクの評価額がソフトバンク出資時から86%下落、WeWorkでの事態を思い出させる。

ソフトバンク:孫氏が求める「モモクリ3年、柿8年」という気長さ 

(フィナンシャル・タイムズ 2022.6.25・土)

 

 3月期に巨額赤字を出したソフトバンクの孫CEOは「モモクリ3年・カキ8年」という日本の諺を出して、「5-10年待てばおいしくなるという自信がある」とした。