ワクチン接種の拡大でアメリカのホテルが回復軌道に入り、稼働率は49%に上昇

 ワクチンの本格接種が段階に入ったアメリカで、ホテル業界が回復に入った。稼働率は昨年3月の65%から一時は急落したが、現在は49%に回復している。従前、予約は直前にしか入らなかったが、今はかなり先の予約もはいる。ビジネス出張も若干の回復が見られる。

 

 長期滞在型のエクステンディッド・ステイ・アメリカが60億$(6540億円)で買収され、ラスベガス・サンズは旗艦カジノのベネチアン・リゾートを62.5億$(6810億円)で売却した。一方、タイムズ・スクエアのエディションは差し押さえとなる見込み。

 

 ニュージャージー州で10月にオープンしたアメリカン・ドリームは不調で、12億$(1310億円)分の借り入れの担保に入れたメガモールのモール・オブ・アメリカとウエストエドモントン・モールが差し押さえの危機に陥った。前者自体も資金難で、金利未払い状態だ。

 

 オフィスはリモートワークの普及等で悲観論もある一方、全般的に明るいトーンが目立っている。かつてのリモートワーク礼賛は「ハネムーン中の礼賛」の様なものだった面があり、更に在宅勤務には各種のコストがそこそこの額でかかる。

 

 マンハッタンでは家賃下落とコンセッションの増加から新規リースが大幅に伸びているが、高額物件でも賃貸件数は伸びている。価格帯上位10%の物件のリースも前年比で114%伸びた。しかし在庫水準は依然として高く、家主が賃貸募集を止める例が増えている。

 

 カナダではトロントを中心に住宅価格上昇が続き、バブル懸念が出ている。若者には郊外のマンションが人気だが、ここは従前は戸建てのエリアだ。

 

 破綻したフィンテック大手の英グリーンシルとソフトバンク(ビジョンファンド)の疑わしい取引が、海外メディアの記事の多くに出た。ソフトバンクはグリーンシルの不適切な経営に乗じ、同社のファンドの他の出資者の資金を自社の利益の為に怪しげに利用していた。

 

 一時、120万室と世界第2位のホテルチェーンとなった、ソフトバンク出資のオヨは中国での室数を5分の1、イギリスやアメリカでも大幅に縮減している。売上見込みのかさ上げや、高稼働率実現のための馬鹿げた低料金の設定といった問題も起きた。

 

 中国当局は住宅高騰を懸念、新たな市場抑制策として「各市役所が協調して公売のスケジュールを調整する」事とした。大手の高額な入札を抑える狙いだ。過去の住宅市場抑制策にはモーゲージ規制、投機的購入規制、新築購入者の制限、社債制限、融資規制があった。

 

 香港で年間賃料が200万$(1890万円/月)という超高額賃貸住宅が出た。

 

 ロンドンではオフィスの大口リースが少なくとも5件、出るかまたは動いている。市場は回復に向かい始めている。オフィス床縮小に伴い増加しているとされるサブリースだが、面積が狭い物やリース期間が短いものだらけで、ハイスペックな物件の供給は少ない。

 

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