ファイザーのワクチン開発の話で不動産株やリート株が急騰

 ファイザーの新型肺炎ワクチン開発の報道で、不動産株・リート株が急騰した。不動産は「人が集まる」事から新型肺炎下では敗者だったが、SLグリーンは37%、サイモン・プロパティは28%、ホスト・ホテルズは30%の上昇をした。しかし年初来ではまだ35%下落だ。

 

 アメリカの大統領選関連の記事が多かった事と、新型肺炎が激しかった期間中はディールが進まなかった為か、不動産関連記事がいつもより少なめの三週間だった。

 

 ホテルはステイケーション需要はあるが、本格的な回復はまだ先だ。新型肺炎の収束後も前のような旅行はしないとする人が多い。航空会社にとり「出張客」は利幅が大きいが企業は出張費を削減中だ。客室のオフィスユースを図るホテルもあるが、近隣の需要だけだろう。

 

 AirbnbがナスダックでのIPO・新規上場に向けた最終段階に入っている。同社はステイケーション需要の取り込みに成功して一挙に業績を回復した。同社が抱える諸問題の中で現在、最も厳しいのは、Airbnbの副作用が大きい市の市役所やEUそのものとの対立だ。

 

 モルガン・スタンレーは在宅勤務では会社が許可した以外のツールを用いるスタッフが多いために業務の監視が行き届かないとする一方、英スタンダード・チャータードはシェアオフィスを利用した「ハブ・スポーク型」のモデルを進めようとしていて、正反対の動きだ。

 

 アメリカの住宅市場は新型肺炎にも拘わらず予想外の好調さが続いているが、政策的支援で表面化していない差し押さえがいずれ多発すれば、市場は反転する可能性がある。

 

 モールの14%が債務不履行状態だが、近年は債務の組み立て方が著しく複雑化している事も倒産の一因になっている。アンカーテナントがモールの一部を所有している事も多く、CMBSではローンを集めて投資家向けに切り分ける際、非常に錯綜した契約関係になる。

 

 サイモン・プロパティとブルックフィールドによるJCペニーの買収・17.5億$( 1840億円・破産中)にOKが出た。JCペニーはサイモン・プロパティのモール60ヶ所に出店している。JCペニーの自社所有の店舗や物流センター等の不動産はレンダー群が取得する予定。

 

 大きく増えた特別目的買収会社(SPAC)を用いたIPOだが、株価が今月中に40%下落したSPACが出て曲がり角かも知れない。しかしSPACによる上場を準備している所は多い。

 

 ソフトバンクは一転、巨額黒字だとした。しかし同社の経理部は自社の「投資会社」への変貌に追いつけていない。同社とビジョンファンドの会計表現には疑問が持たれ、さらに2兆円以上の資金の運用をさせている子会社には孫氏個人の出資分もあるという脇の甘さだ。

 

 恒大集団は子会社の裏口上場が認められず1300億元(2.1兆円)の債務返済を迫られる状態に一時陥ったが、債権者群から総額863億元(1.3兆円)の猶予を得、一息ついた。同社が抱える問題は、デベに土地を売り歳入を得ていた地方の市役所の財政問題にも直結する。

 

 シンガポール上場のリートの海外不動産の取得が目立つ。元々海外系のリートが多い。

 

 仏ウニベイル=ロダムコ=ウエストフィールドの株主総会では、経営者側提案の増資資金による借金返済案が否決され、活動家株主側は取締役会に2議席を獲得した。

 

 

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