ソニー不動産とWeWorkの共通点

 「売りの専任」を標榜して鳴り物入りでデビューしたソニー不動産と、とうとうニューヨークで最大の賃借人になったWeWorkの共通点・・・

 

 それは両社とも非常に高い発行価格でソフトバンク(ヤフー)が株を引き受けたこと。

 もう一つ、これには確証はないが、たぶん両社とも「赤字上場」を狙っていること。

 

 いつか革命が起こって、ソニー不動産/ヤフー不動産、WeWorkの天下が来ると思っていたら大間違いだと思う。

 

 製造業(ソニー)も、IT業(ソフトバンク)も、固定費投資をしておけば僅かな変動費の追加支出で大きな売上を得られる。またこれらの業種では売上げが青天井だ。つまり「大化けする」可能性がある。

 

 一方、不動産仲介業では売上げを得るのに必要な変動費支出は僅少に見えるが、実際はとても地道で手間(人件費)がかかる。

 ITを取り入れて業務効率の改善に成功した不動産仲介業の例にはアメリカのレッドフィンがある。しかし向上した生産性はせいぜい2-4割だろう。10倍、100倍になるというようなことはあり得ない。

 また、銀行や保険と不動産仲介業は競争条件がまるで違う。ソニー銀行にしてもソニー生命にしてもソニー損保にしても、財務省・金融庁の許認可事業だ。参入さえしてしまえば、普通にやっていれば儲かるようになっている。

 

 WeWorkのオフィス賃貸も、床面積には上限があるので売上げにも天井がある。ホットデスクで机の数の10倍の会員を募っても、あんなレイアウトでは大した事にはならない。

 生産性の改善では売上を伸ばせず、規模を拡大するしかない。

 

 景気下落局面に入ったらどんどん会員が解約していくとの懸念に対して、最近は大企業向け貸し出しにシフトしているから手堅いので大丈夫という説もあるが、これも違う。

 大企業が今、借りているのは限界的な部門の為のものが中心で、景気下落が起きたらWeWorkから借りている床が真っ先にコスト削減の対象になるはずだ。

 

 それでもWeWorkの経営者たち個人には大きな逃げ道がある。同社がオフィスの使われ方について非常に多くのデータを集めている事だ。ビッグデータばやりの中、思わぬ知見が得られるかもしれない。データの切り売りくらいは容易だろう。

 

 WeWorkの経営者が個人的に儲けるたぶん最も確実な方法は、WeWorkからこれらのデータを持ち出す事か。もっとも上場できれば、売り食いの方が儲かるかもしれない。