たぶんサウジアラビアで軟禁されることになるソフトバンクの孫正義氏

 コワーキングのWeWork(ウィワーク)を巡って、笑い話のような話が起きている。この調子でいけば、ソフトバンクの孫正義氏はサウジアラビアへ呼び出された時に、モハンメド皇太子によって軟禁されることになるだろう。

 軟禁場所は昨年、サウジの富豪100数十人を拘束した時に使われた超高級ホテル、リッツ・カールトンだ。出国禁止だけで、ホテルからの外出くらいは許されるかも知れない。

 

 WeWorkは事業規模を急拡大中だが、同時に赤字も急拡大中だ。

 

 一方、ソフトバンクの孫正義氏は新興企業、IT企業を投資対象とした1000億$(11兆円)規模の「ビジョンファンド」を設立、サウジの皇太子はこれに450億$(5.0兆円)という巨額出資をした。

 ビジョンファンドは昨年、WeWorkを企業評価200億$(22兆円)として44億$(4900億円)を出資、その中心はサウジの資金だ。さらに今年8月には10億$(1110億円)を転換社債と似た仕組みで融資している。

 

 ソフトバンクはビジョンファンドの二号ファンドを立ち上げようとしているが、この中からWeWorkへ150-200億$(1.7-2.2兆円)を出資しようとしている。今回の企業評価額は400億$(4.4兆円)、すなわち前回の丁度、「倍」だ。

 

 サウジの皇太子は第一号のビジョンファンドの運用成績が非常に良いので、二号ファンドにも同額の450億$(5.0兆円)を出資したいとした。

 

 問題はさしたる実現益もあげていないのにも拘らず、なぜサウジの皇太子は「第一号のビジョンファンドの運用成績が非常に良い」と考えたかだ。

 孫正義氏は皇太子に対して、WeWorkの評価額は倍になった、あなたの出資分も倍になったと説明しているのではないか?・・だとすると笑い話である。

 

 皇太子はべらぼうに忙しい。内政、外交、軍事、社会改革、手を広げすぎているのだ。孫正義氏から「倍になった」と説明されれば、そんなものかと思ってしまうだろう。

 

 「WeWorkの企業評価が倍になった」と考えているのは、いまのところ世界で孫正義氏ただ一人である。勘違いに気が付いた皇太子は、孫氏をサウジに呼び出し、孫氏が彼に対して説明した値段でWeWorkの株をサウジから買い取るように迫るのではないだろうか。

 

 それができないなら孫正義氏はサウジから出国できなくなってしまう・・サウジという国のお国柄から考えて、そのような事態が将来、起きる可能性はあるだろう。

 その場合、ソフトバンクの携帯の加入者にとっては不満だろうが、孫氏は携帯電話の通話料を原資にしたお金をサウジに支払って、釈放されるのかも知れない。

 

 「人命は携帯の通話料金よりも重い」のだろう、きっと。

 

 ご参考までに

 

(2018.11.7 追記)

 上記の中の「問題はさしたる実現益もあげていないのにも拘らず」であるが、ビジョンファンドは少なくとも1件そこそこの利益を実現益として挙げていたようなので追記する。

 インド最大手のオンライン通販会社、フリップカートの売却で、投資額は25億$、売却額は40億$、ちなみに売却先はeコマースに真剣に取り組んでいるウォルマートだ。

 

 その後、カショギ氏殺害事件が明るみに出て世界中の注目を集めてしまったので、孫氏がサウジで出国できなくなる(パスポートを預かられてしまう)というようなことはなさそうだ。

 そのような事をすると目立ちすぎるからである。孫氏はその点では命拾いをした格好だ。

 

 ソフトバンクとサウジの関係は「結婚」に例えられている。

 どうころんでも幸せな結婚にはなりそうにないが、孫氏の持つ強運を祈ろう。