万科企業vs宝能集団の中国初の敵対的M&Aの死闘も終盤戦?

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 万科企業と言えば、中国のマンションデベ最大手だ。

 通常の中国の民間企業と違って異色だったのは、突出した大株主がいないこと。

 ここが突かれてしまった。

 

 昨年末、今一つ正体不明の「宝能集団」に株を買い占められていた事が明らかになった。

 そのシェアは24.3%で、宝能側は万科企業側に経営陣の交代を求めている。

 

 万科企業は企業防衛策として、深圳メトロとディールをした(一種のポイズンピルだ)。

 深圳メトロに600億元(約9300億円)、出来上がりで20.65%分の新株を割り当てる。

 (宝能側のシェアは希薄化して、19.3%になり、筆頭株主ではなくなる。)

 万科企業は深圳メトロから土地、456億元(7100億円)分を購入する。

 これは「鉄道+不動産」という、日本の「東急電鉄」をまねたビジネスモデルだという。

 

 このディールの最大の問題は、深圳メトロへの割当価格が安いことだ。

 万科企業の以前の筆頭株主、華潤も現在の所、このディールに賛成していない。

 華潤は本来は万科企業の現経営陣に対して友好的なはずで取締役も3人送り込んでいた。

 しかし宝能集団は今、華潤の抱き込みを図っている。

 

 こんな中、宝能集団は開示規制のリミットに近い、24.972%まで株を買い増した。

 

 しかし攻める宝能集団に、新たな危機が迫っている。

 

 万科企業の株は昨年、暮れにかけて上昇し、今はかなり下落した。

 宝能集団の平均取得価格は、今の時価よりも相当高いはずなのだ。

 

 宝能集団の買占め資金の原資は銀行借り入れとシャドーバンキングだ。

 マージンコール(追加証拠金)差し入れが迫られている可能性が高い。

 

 そのような資金を新たに調達できるか、

 それとも、万科企業の株を手放すか・・・

 

 昨年、12月に幕を開けた、中国で初の敵対的買収劇の終幕はそう遠くはなさそうだ

 

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