グローバル不動産経済研究会:レジメ

 ソフトバンクがWeWork(ウィ・ワーク)にまた巨額の資金を投入した。今回の出資額は10億$(1110億円)だが同社は昨年44億$(4880億円)を出資している。WeWorkは7.02億$のボンドも発行したので、1年強の間に合計61億$(6770億円)もの資金を調達した事になる。...
 巨額の海外M&Aを中国当局から咎められ、資産処分を急いでいる渦中のHNA(海航集団)の共同創業者兼共同会長が、フランスの教会で観光中に崖から転落、事故死した。同氏は買収の際も、現在の資産売却においても陣頭指揮を取っていた人物。HNAの円滑な資産処分(=債務削減)が躓くと中国の金融システムの健全性も損なわれてしまう可能性がある。...
 日本への上陸を狙っているプライベート・エクィティにはブラックストーン、KKR、英ペルミラがあり、大企業の非中核的子会社の買収を狙っている。日本の伝統的企業は非中核的子会社の売却・切り離しに対して、往年のような抵抗感をもう持っていないと見ている。  不動産もたぶん対象で、場合によっては上場不動産会社の丸ごと買収の可能性もある。...
 Airbnbは日本で観光庁からの通知により予約を大量にキャンセルするはめになった。6月15日施行の民泊法について、同庁の従前からの求めを甘く見ていたためだ。観光庁は「Airbnbが驚いたと言った事に驚いた」としている。Airbnbはパリ、ニューヨーク、アムステルダム、フィレンチェ、アテネ、リスボン他でも行政当局と各種の悶着を起こしてきた。...
 アメリカで実店舗会社の中に復調を遂げている所が出ている。メイシーズ、ターゲット、ナイキなどだ。一方、JCペニーやノードストロームは依然として悪い。ウォルマートはイギリス子会社のアズダの売却とは反対に、インドのオンライン通販大手のフリップカートを150億$(1.64兆円)で買収した。米スーパー大手のクロガーはオンライン・グロサリー会社とタイアップする。
 英ハマーソンが英のSC会社インツへ出していた35億£(5200億円)の買収オファーは流れ、仏クレピエールが英ハマーソンに出していた50億£(7450億円)の買収オファーは降ろされてしまった。クレピエールはハマーソンに対して「インツを買収しない事」を条件にオファーしていたのだが、このような状況下で誰が不満を持つのかというと、「ハマーソンの株主」である。彼らにしてみればハマーソンの役員会がインツの買収を取りやめ、株をさっさとクレピエールに買収してもらっていた方が手早く、確実にもうかったからである。
 M&Aでは買収の申し入れを受けた側が取る態度が3種類ある。「受諾」と「拒絶」、もう一つはそのどちらとも公には態度を明らかにしない対応で「アンソリシティッド(unsolicited)」と呼ばれる。まったく相手にできないという意思表明の事もあるが、水面下で条件交渉をしている(例:買収価格の引き上げ)場合も多い。...
 世界の住宅市場について興味深い記事が3本出た。1本目はFT(フィナンシャル・タイムズ)の記事だ。ニューヨーク、サンフランシスコ、ロンドン、シドニー、東京といった世界の国際的大都市で、2008年の金融危機以降、住宅価格の動きがシンクロしている。これらの都市では「利下げ」→「外人買いが歓迎される」→「住宅価格が上昇」→「高額価格帯で供給が増える」→「価格が下落する」という動きで共通している。このようなシンクロ現象を起こした最大の要因は、各国中央銀行が同時に行った大規模で長期にわたる「金融緩和」と見られる。なおこれらの現象が見られる都市の中で、東京は最も価格の振れ幅が小さい。
 海外買収を派手にしすぎた事で監視対象になっている主要4社のうちの1社、安邦保険が中国の「政府管理」となった。期間は1乃至2年である。今回の処置は同社がこのままでは破たんする状態であった事を意味している。現在、同社の国際的な問題の方が大きく取り上げられているが、実際は破たんに伴う国内の問題の方が大きかったのであろう。...
 コワーキングの雄であるWeWorkに対して、前向きな評価とケチが交錯している。...

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