ツイッター、サンフランシスコとロンドンで家賃未払いで訴えられる

 商業不動産の価格下落が主因で、世界の不動産向け融資で「ディストレスト化(不良債権化)」が進んだ。全体で1750$(23.1兆円)だ。ディストレス化はヨーロッパで最も大きく、近々に予定されている不動産評価額が通知されると担保不足状態の融資が大幅に増える。

 

 日銀の黒田総裁は引退が間近だが、批判がますます高まっている。「主流ではない金融政策」を何度も採って全て失敗、市場は黒田総裁を「口先だけ」「信用できない」「フェイントをかけようとする」とし、従って両者の「コミュニケーションが取れない」等、ぼろくそである。

 

 ソフトバンクが4四半期連続の巨額赤字となった。472社へ出資したビジョンファンドの評価額はピークから73%減少した。孫CEOのソフトバンクに対するデリバティブの未決済残高は50$(6600億円)に膨張した。但し孫CEOが決済を求められるのはまだ先だ。

 

 マンハッタンで「新築または本格リノベ済みの大型ビル」の大口リース契約が続いている一方、築年の古い中・小型ビルからはテナントが流出し、救いようはないようだ。「マンションへコンバージョンする」という案も、個別具体のビルで検討すると困難な事の方が多い。

 

 イーロン・マスク氏に買収されたツィッターはサンフランシスコの本社とロンドンのオフィスの家賃不払いで訴えられた。お金がないのではなく支払い担当のリストラが原因か。

 

 1月分の雇用は季節調整済みで51.7万人増加と、事前予想の2~3倍とされた。非常に大きい食い違いであり原因が精査されている。パウエルFed議長はサービス業等での雇用が急増し一部で人件費が上昇、この為にインフレの更なる抑え込みが必要としている。

 

 雇用増51.7万人という強い数字に違和感があるのは、非常に多くの大型レイオフの発表が相次いでいるからだ。リストラは当初のIT企業や金融業から製造業他へもが広がった。

 

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昨年のホリデーシーズンの売上は集計・分析が難しかったが、ほぼ「微減」だった。

 

 旅行は新型肺炎前の80-90%に復活した。しかし旅行者は「自動車旅行の際は弁当持参」のように、支出額を減少させている。ホテルではブルーカラーのビジネス利用が増えている。

 

 倉庫の新規立地が、メキシコ国境の地帯に移っている。米中対立でアメリカの製造業が工場をメキシコへ移転させるという動きがあり、これが倉庫の新規立地に影響を与えている。

 

 コンピュータを使って住宅の買取り転売を図っていたオープンドアやジローと言ったiBuyer群は両社とも事業に失敗したが、両社は今も「しろうとの餌食」となっている。

 

 ブラックストーンでは個人富裕層向けのBREITの償還請求停止問題に続き、今度は機関投資家向けのBPPでの未償還問題が明かになった。但しBREITでは償還資金をBREIT自身が出すが、BPPでは元々、新たな投資家が出資した時にそれを原資に償還する設計だ。

 

 中国の一帯一路による世界各地のメガプロジェクトで、欠陥工事が明かになっている。発電所の設備が低品質、発電所のトンネルが崩壊しそう、住宅団地にひび、雨漏り等だ。

 

 中国の不動産デベの社債価格は大きく回復し、一部の優良デベの新発債は人気がある。

 

 

 ロンドンでは一般の住宅市場はスローだが高額物件は売れ行きが良い。最近増えているのは、売主と買主が通話アプリを通して価格等を交渉する例だ。ロンドンの住宅売買の4分の1100万£(1.4億円)に限ると3分の1で、これが利用されていた。

 

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