長嶋修氏の記事の「アメリカ」の部分はここが大間違い

  長嶋修氏の記事はいつも興味深く読ませていただいているのだが、アメリカについての下りの誤りに関してひとこと、申し上げたい

 

(Smart Newsから)

 

「なぜ勝手に内見を断っていたのか…不動産会社の・・」PRESIDENT Online 2022/12/14 9:00

>「両手取引」「囲い込み」アメリカでは禁止

>日本では「両手取引」が当たり前のように行わ>れていますが、海外は違います。

>アメリカでは不動産取引を個人の不動産エージェントに依頼するのが一般的です。不動産エージェントは州に認定された資格で、個人事業主です。

>両手取引は禁止されていて、一つの取引に、売主側と買主側で別のエージェントがつくのが常識です。

>また、エージェントには厳しい審査があり、高い倫理性が担保されています。

>アメリカでは不動産の囲い込み自体も禁じられています。

>日本では不動産データベースとして「レインズ」が有名ですが、アメリカには「MLS(Multiple Listing Service)」というものがあります。?

>MLSの規模はレインズの比ではなく、物件そのものの情報にくわえて、登記状況や過去の取引履歴など、不動産にひも付くデータが網羅されています。

>また、その情報の利用に制限はありません。

 

 この段落の正確さは惨憺たるものだ。およそお金をもらって書く「プロ」の文章ではない。

 いくつか指摘しておきますので、これらをヒントにしてお調べください。

 

 まず「アメリカでは」という言い方。これが難しいわけだ。

 特に困るのは我々が最も興味を持つ「ニューヨーク」がアメリカの中で非常に例外的な点だ。

 全米リアルター協会とジローについて調べれば、いかにユニークか分かる。

 

 「不動産エージェント」は資格でしたっけ? 州の資格は「リアルター」では?

 最近、日本でも「不動産エージェント」を自称する会社が目立つので、ご確認ください。

 

 「個人事業主」とは「法人化しない個人が事業主」ことを指す。

 アメリカの不動産仲介業者はほとんど「法人化」していると思います。

 「独立不動産仲介会社」という言葉があるのですが、これを説明する長くなる。

 日本と違って大手の社員が社業として仲介業務をしているのではない。

 大手の冠を冠っていても各リアルターは「独立して」営業しているので、長嶋修氏の言いたい事は分かるが「言葉が雑」なわけだ。

 

 「MLS(Multiple Listing Service)」については・・・・。このくだりは「落第点」です。

 Listingの歴史といつから頭に「Multiple」が付いて、そしてそれはどのような要請があったか、

 これを調べるとなぜ「売主が売り主側業者に6%を払い、買い側は買主側業者には払わない」という慣行が成立した理由が分かる。ぜひ、一回きちんと調べて発言に重みを付けてください。

 

 日本の周旋屋、口入れ業にはこれとは異なる歴史があり、売り主3%、買主3%という制度になった。

 

 日本の両手仲介を批判されているくだりもあったが、この手の論を言う方は(今回の長嶋氏も含め)、非常に浅薄だ。

 今回は長嶋修氏の論の批判は控えます