bizSPA!の「遠山晃望氏」という方の間取り論は面白い

SmartNews」というニュースのまとめサイトで興味深い記事を見つけた。「住宅の間取り」への認識が西欧人と日本人でどう異なるかと言う話だ。

出典はたぶん「bizSPA!取材班2022.11.03 ライフ・エンタメ」だと思う。

 

 なぜ欧米より日本で「面白い間取り図」が生まれるのか?在英建築史家からは驚きの理由が | bizSPA!フレッシュ

 

 この記事はじつになるほど、という説だった。

 私自身は、海外の不動産ビジネスに長めに見て40年、短めに見て20年携わっている。今回の「建築史家」の方の話は実に面白い指摘だ。

 

 この記事に私が付け加えるとしたら、日本独特の木造住宅建築工法が日本人の「住宅の間取り」への認識に与えた影響だ。

 日本の伝統的な住宅建築方法(木造軸組み工法)は、垂直方向に柱を立て水平方向に梁をわたして構造とする。方眼紙があれば素人でも間取りを描く事ができ、また大工はこの素人が描いた平面図だけで家の建築をすることができた。

 これに対して西欧の住宅は石造、レンガ造、2×4工法、いずれにしても壁工法なりそれに類似し、間取りを素人がいじくる事は基本的に困難で、建築の専門家を必要とした。

 この違いが「間取りに対する認識の違い」につながっているように思われるわけだ。

 

 今回の記事の建築史家・遠山晃望氏の話にはなるほどと思わせるところが各所にある。私の守備範囲では「間取り図」までは及ばないのだが、英米人が「間取り」をつべこべ言うようになったのは確かにこの10年だと思う。

 昔はアメリカ人が間取りを気にするのは、そこそこの設計料を払って建てるラグジュアリーな住宅だけだった。この10年間ですっかり増えたのが「建売の図面売り」の際に「(モデルプランに)主人用の書斎を加えて欲しい」という話で、彼らのこんな簡単な話も日本語には「注文住宅(カスタムビルド)」と訳されている。

 

 このほか、アメリカ人が日本人に似てマンションの値段を坪単価(sqft単価)で考える事が増えたのもこの10年間の変化だ。私はこれらを不動産業の立場から考えて来た。

 

 しかし今回の遠山晃望氏のような建築史家の立場の方が分析したお話を読むと、実に興味深い。たしかにこの問題は不動産屋からのアプローチより、建築の方からみるべきなんだろうと思う。