三井不動産の大型ビルを含め、マンハッタンの新築/リノベ物件は好調

 ハドソンヤード内の超大型ビル・50ハドソンヤードには三井不動産が大きくコミットしているが、ミドルクラスのリースが重なり順調に埋まっている。事業費は38億$(5430億円)だ。マンハッタンのオフィスは総論的には供給過剰だが新築やリノベをしたビルは好調。

(注:築年の古いビルやアメニティがプアなビルはリースの調子は悪い)

 

    <<マンハッタンの新築ビル好調関係:末尾①>>

 

 住宅市場が「世界同時下落」の可能性に直面している。アメリカではサンフランシスコから下落が始まった。カナダは5か月前から下落し下げ幅は16%、オーストラリアは8月に最大市場のシドニーで前月比2.3%下落した。中国の住宅市場はとっくに下落を続けている。

 

    <<住宅市場世界同時下落の可能性関係:末尾②>

 

 アメリカの住宅市場の下落見込みの根拠としては、先行指標である既存住宅販売仮契約指数が年初から6回も下落、従来はリスティング価格より高い価格での成約の方が多かったのにこれ逆転した等がある。しかしマンハッタンの家賃は依然上昇している。

 

 ニューヨークで開業したばかりの「アマン・ニューヨーク」は、入居しているクラウンビルを売ろうとしている。価格は6億$(858億円)程度か。アマンは世界に34ホテル、うち完全・部分所有は16ホテルだ。アマンの超高額マンション部分も既に7戸売れている模様。

 

 ビリオネアズ・ロウ(億万長者通り)の超高層超高額マンションの一つ、セントラルパーク・タワーがまた大幅値引きで成約した。大幅値引きを前提としたカタログ価格を付けて売り出す戦略の模様。今回は売出価格6370万$(91.1億円)の物件が4930万$(70.5億円)で成約。

 

 中国の不動産市場の問題が銀行セクターへ与える影響が取りざたされ始めている。複数のマンションを買った人間が資産運用商品を解約してモーゲージの繰上げ返済をする例が多発し、銀行は優良顧客を失う。利ザヤの縮小や延滞が増加している銀行もある。

 

 最大の問題デベである恒大集団は工事が停止した同社のマンション事業について、全706プロジェクト中で668件で工事を再開、うち606件は工事のペースは正常な物になっていると発表した。しかしその他の状況と照らし合わせると、どこまで本当なのか疑わしい。

 

 ユーロの対ドル相場が下落し、アメリカ人のヨーロッパでの住宅取得が増えている。WSJはロンドン、パリ、リスボン(ポルトガル首都)で、BBはアルガーブ(ポルトガル最南部)で目立つとしている。ポルトガルは生計費が安い上、黄金ビザ(永住ビザ)が取得しやすい。

 

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<<マンハッタンの新築ビル好調関係:末尾①>>

 

ビル:ハドソンヤードの新ビル、テナントが着々と埋まりつつある 

(ブルームバーグ 2022.9.13・火)

 ハドソンヤードのビル、50ハドソンヤードは事業費38億$(5430億円)で今年遅くにオープニングとなるが、この数ヶ月間で金融会社数社がテナントとなった。(同ビルは三井不動産が巨額出資)。同ビルではすでにブラックロックやメタが賃借契約済みだ。マンハッタンではビルは供給過剰だが新築とリノベをしたビルは入居が多い。

 

ビル:マンハッタンの巨艦・ワン・バンダービルトが99%リース済みに

 (ブルームバーグ 2022.9.16・金)

 新型肺炎問題のさなかにオープンした事業費33億$というSLグリーンの巨艦ビル、ワンダービルトについてフィデリティ系会社が62階部分古フロアをリース契約し、これで99%が埋まった。同ビルはグランドセントラルに至近で、特に金融関係の会社の入居が目立っている

 

ビル:マンハッタンで地銀のキャピタル・ワンが増床 

(BB 2022.8.4・木)

 バージニア本拠の地銀、キャピタル・ワンはマンハッタンでオフィスを3フロア・11.7万sqft(3290坪)を拡張する。19階建てで1910年築、2014年に大型リノベされた35.2万sqft(9890坪)のビルで借り増しをするが、ビルオーナーはコロンビア・プロパティ、L&L他だ。一方メタ、アマゾン、ツィッターは借り床を減らす方向だ。

 

ビル:ハドソンヤードの近くの新築超高層ビルに法律事務所が移転 

(ブルームバーグ 2022.6.23・木)

 ハドソンヤードの近くで2023年初頭に竣工する58階建て「トゥー・マンハッタン・ウエスト」に、法律事務所が14.4万sqft(4050坪)をリースした。ミッドタウンから500人が移転する。オフィス床の削減を図る所が多い中、新築やリノベ物件を借りる動きもある。このビルでは別の法律事務所が2019年にリース契約をしている。

 

ビル:シタデル、マンハッタンでオフィスを拡大 

(ブルームバーグ 2022.6.10・金)

 シタデルがマンハッタンのオフィスを大幅に拡大する。ボルナド所有の新築ビルの350パーク・アベニューとL&Lホールディング所有の425パーク・アベニューへ入居する。ボルナドのビルは85%リース済みとなった。

 

ビル:元トランプ社保有のビル、リノベの後に豪マコリ―が大型リース 

(ウォールストリート・ジャーナ 2022.5.16・月)

 ブルックフィールドが2018年にトランプ社から購入したミッドタウンの39階建ての666フィフスビルは4億$(520億円)での改装の上、600フィフスと改称される。豪マコリーは125万sqft(3.5万坪)のうち22万sqft(0.6万坪)のリースを受ける。家賃は6階分を大体100$/sqft(3.9万円/月坪)。アメニティの豊かさが決めてだった。

 

<<住宅市場世界同時下落の可能性関係:末尾②>

 

世界の住宅市場・下落へ:ホットだった市場が痛みを伴う修正へと向う? 

(ブルームバーグ 2022.9.12・月)

 来年と再来年は世界同時の住宅価格下落となるだろうとの意見がある。オーストラリアとカナダの住宅価格は二けた下落に入った。アメリカでは固定金利のモーゲージが主流だが、豪、スぺイン、英、加では変動金利の方が主流だ。韓国はアジア諸国の中で最初に利上げをし、中国は不動産危機のさなかにある。

 

アメリカの住宅市場・下落へ:売却希望価格以下での成約件数の方が多くなる 

(ブルームバーグ 2022.9.3・土)

 「平均成約価格」対「平均リスティング価格」の比率が99.8%となった。100%を割るのは2021年3月以来だ。7月の供給戸数が記録的な率で伸び、新築住宅販売が2016年初頭以来の水準に下落した結果だ。新型肺炎中は入札合戦が頻発し、成約価格はリスティング価格より高くなっていた。リスティング価格を下げる割合は7.5%。

 

アメリカの住宅市場・下落へ:サンフランシスコで始まった住宅価格の下落 

(ブルームバーグ 2022.9.9・金)

 不動産仲介のレッドフィンによれば、9月4日までの4週間ではサンフランシスコのメディアン価格は前年比で7%下落して、140万$(2.0億円)となった。同業のコンパスも8月の前年比の価格下落率を7%とし、売れ行きの速度が鈍りリスティング価格以上での成約は減少、契約入り件数は前年比25%減少としている。

 

中国の住宅市場・下落へ:住宅価格の下落もあって中国人が消費を節約 

(ウォールストリート・ジャーナル 2022.8.25・木)

 「問題はバブルは破裂するかから、どのようにしてソフトランディングで冷めるか」へと変わった。ある人間は息子用の住宅を買う為に手持ちの数戸を売ろうとしたら新型肺炎前と比べて2割安なっていた。住宅価格下落だけではなく、収入が鈍化、16-24才の人口の二割に職がないといった問題もある。

 

オーストラリアの住宅市場・下落へ:8月の住宅価格の下落幅、40年ぶりの大きさ

(ブルームバーグ 2022.9.1・木)

 オーストラリアの住宅価格の全国指数は8月、1.6%下落して1983年以来、40年ぶりの大きな下落幅となった。シドニーは2.3%下落、メルボルンは1.2%下落。豪中銀は5月から1.75%利上げして1.85%となっている。

 

カナダの住宅市場・下落へ:トロントの住宅価格下落が5ヶ月間で16%に 

(ブルームバーグ 2022.9.2・金)

 トロントの住宅価格は5ヶ月連続と2017年以来で最長の長さになった。3月以来の下落率は合計16%で統計がある2005年以来で最大だ。月次ベースで見ると8月の住宅売買件数は前月比で11%上昇している所に期待。

 

イギリスの住宅市場・下落へ:不動産仲介会社とビルダー、市場悪化に身構える

(フィナンシャルタイムズ 2022.9.10・土)

 不動産仲介のウィンクルワースは売上げが40%弱下落した。ビルダー最大手のバラットは4月迄は市場は快調だったのに、今は明らかに消費者のコンフィデンスは低いとした。上場デベの株価は年初比で40%下落、ハリファックスによればこの一年間で住宅価格は平均11.5%上昇したのだが、6月以降は0.2%しか上昇していない。