中国でマンションの工事が進まず、購入者たちがローン返済拒否

 中国の新築マンション販売はほぼ全てが「図面売り」で、「購入契約時に価格の全額を払う」慣行である。

マンション購入者はモーゲージ(ローン)分をマンション工事期間中も毎月返済をする。

ところが多くのプロジェクトで工事が停止や大幅に遅延し、不満を持った購入者の間でモーゲージの返済を拒否する動きが急速に拡大している。大手銀行の経営問題となるような規模ではなさそうだが、当局はインターネット上での本件の書き込みを削除して、問題の拡大を防いでいる。

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 中国で住宅価格の下落が鮮明となっているために、「中国的珍談」がいくつか出ている。

 

*地方政府の指導で十分に値下げできなかったマンションの販売で、農家から「桃やスイカ、ニンニク」を市場価格の数倍と評価して頭金とし、マンションの実質的な値下げとしている。

*銀行に預けた預金が消失して銀行預金を下ろせないという騒ぎが数件起きているが、新型肺炎の健康アプリも絡んだまるで「銀行による取り込み詐欺」のように見える。

 

 安部元首相が手製の銃で射殺され、各国にも驚きが広がった。

 

 日銀は長期金利を抑えるために大量の国債を購入しているが、カラ売り筋は日本国債の価格は高すぎると見て、カラ売りによる売り崩しのタイミングを見計らっている模様だ。

 

 ソフトバンクではまた悪材料が噴出している。ビジョンファンドのミスラ氏やCOOのクラウレ氏を始め幹部が次々と退職、金融のクラーナでは極めて割高な出資をして巨額損失の計上見込み等だ。孫CEOは「モモクリ三年、カキ八年」と言いだし、失笑を買った。

 

 住宅市場は読みづらい状況が続いている。新型肺炎中に人気となったオースティンやフェニックス他の都市では売買・賃貸ともに下落の兆候があるが、全体的には買いの「入札合戦」はまだ続いている。住宅価格の高騰と金利上昇で購入を諦めた人が賃貸に回っている。

 

 今年の年初から5か月間の退職者数は2000万人もいて「大退職時代」と呼ばれているが、いざ再就職しようとしても希望する職につけない人が多い。求人条件に「リモートワーク」と書いてあっても実際は期待するような「リモートワーク」とは異なる事がほとんどだ。

 

 ニュージャージー州の超メガモール、「アメリカン・ドリーム」は危険な状態にあるが、ニューヨーク州シラキューズの超メガモール、「デスティニーUSA」もCMBSでデフォルトを起こしかけた。デットの返済期限を5年延長する事で、デフォルトを回避した。

 

 ファンドのシタデルがシカゴから本拠地を移すマイアミで、マンション、ホテル、ビルといった不動産開発のほかにレストラン、小売店なども続々と進出し、ブームの感がある。IT会社と金融会社も多く移転し「南のウォールストリート」と呼ばれている。

 

 KKRが7施設・4500ベッドの学生寮会社を7.25$(1008億円)で売却した。KKRはこれ以外にまだ多くの学生寮を保有している。4月にはブラックストーンが学生寮会社を128$(1.78兆円)で巨額買収をしている。学生寮の投資利回りは賃貸マンションよりも高い。

 

 ロンドンの最高級住宅地、ベルグラビアで9200万€(127.9億円)の超豪邸の売買が起きた。これは新型肺炎以降の取引がロンドンの最高級クラスの物件にも戻って来た事を示している。買主はスイス人富豪で、部屋数は約80室。

 

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(中国で不満がたまった購入者のローン返済拒否が急増)

モーゲージ危機:売買代金支払い済みの工事が遅れ、モーゲージの支払い拒否

(ブルームバーグ 2022.7.13・火)

 中国では図面売りマンションの購入時に借りたモーゲージの実行も受けて代金の全額を支払う例が多いが、デベによる建設工事が遅れて長引いている為にモーゲージの返済を拒む動きが広がっている。中国全土の22都市、35プロジェクトで工事遅延か不動産価格の下落でこのような事態が起きている。

モーゲージ危機:モーゲージの返済を拒む買主がさらに増える 

(ブルームバーグ 2022.7.14・木)

 マンションの工事が竣工しない事に不満を持ちモーゲージの返済を拒む人間が急増している。月曜には28プロジェクトだったが火曜日は58、水曜は100へとなった。銀行株指数は3.3%、デベ株指数は2.7%の下落をした。近隣の物件は過去3年の販売価格よりも平均15%低い値段だとされ、こちらも火種となる可能性がある。

モーゲージ危機:中国:返済ボイコットで不動産市場が震撼 

(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2022.7.14・金)

 投資家は中国の不動産市場全体への信頼を無くした。まだデフォルトしていないドル建てジャンク債の平均利回りは29%にも上昇し、販売件数が減少してデベは資金がなく工事はますます遅延している。既購入者の中には工事の進行状況を監視する為にカメラを設置したり、状況を見る為にドローンを飛ばす人も出ている。

モーゲージ危機:ローン返済ボイコットで不動産危機がスパイラルに 

(ブルームバーグ 2022.7.15・金)

 価格、販売数、着工の全てで不動産は悲惨だ。ゼロコロナ政策で住宅への需要も落ち込んだ。西安市では物件の引き渡しが出来ず社会的な問題を起こしたデベは罰するとした。中国では家計資産の70%は不動産として保有され、銀行の貸付金の不動産向けの割合も、地方政府の歳入に占める土地売却の割合もともに30-40%なのだ。

モーゲージ危機:中国は独自の「モーゲージ危機」へよろめき込む? 

(ブルームバーグ 2022.7.14・木)

 ローン返済をしないと購入者達が怒るのも無理はない。代金支払先のデベ達は物件を完成させる為の資金がないのだ。下請けや従業員や理財商品への投資家達の問題とは異なり、今回は銀行の不良債権に直結するパンドラの箱で、リーマンショックの際の規模の問題が発生する可能もある。問題を抱えたデベの株が多すぎるのだ。

モーゲージ危機:中国の当局、銀行群を招集して緊急ミーティング 

(ブルームバーグ 2022.7.19・木)

 銀行株とデベの社債の下落で金融当局は緊急会合を開いた。当局は「不良債権額を増加しても融資を緩める」と「社会の安定」のジレンマにある。デベの危機は碧桂園の様にかつては安全とされていたデベにまで広がり、新しい段階に入った。デベ群が2013-20年の間に竣工前販売した物件で引き渡しがされているのは60%しかない。

モーゲージ危機:返済ボイコットによる不良債権は3.12$(434億円) 

(ブルームバーグ 2022.7.15・金) 

 モーゲージ支払いボイコットに伴う不良債権の額を、中国の各銀行が明かにした。額で最大の農業銀行が6.6億元(135億円)、工商銀行は6.37億元(131億円))等で、建設銀行、中国銀行、交通銀行は額を明示しなかった。