アマゾン、通販の増加数を過大に見誤り、確保しすぎた倉庫を最大8%削減か

 アマゾンが倉庫を減らすとして、物流倉庫業界にとって衝撃が走った。同社のオンライン通販は新型肺炎中に一段と拡大したが、倉庫を多く確保しすぎていた事が原因。但し他社からの倉庫需要は大きく、アマゾンによる空室は埋まるだろう。

 

(参考記事)

物流倉庫:アマゾン、手当てをし過ぎた倉庫を大量にサブリースへ出す

(BB 2022.5.22・日)

 新型肺炎中に急膨張した通販の勢いが消え、アマゾンは余剰となった物流倉庫1000万sqft(28万坪)をサブリース化、あるいはプロロジス他の家主とのリース契約を終了させる。余剰床は3000万sqft(84万坪)ともされるが、同社の倉庫面積は3.7億sqft(1040万坪)だ。倉庫の空室率は4%と低く代替テナントは見つかるだろう。

物流倉庫:アマゾンの倉庫過剰問題、好調な倉庫セクターを揺るがす

(WSJE 2022.5.31・火)

 物流倉庫は新型肺炎以前から賃料、稼働率等が上昇していた。しかしアマゾンが1000万sqft(28万坪)かその3倍以上をサブリース他に出して削減するとした事から、業界にショックが走っている。同社はウォルマートやターゲット共に大量の倉庫を借りていた。アマゾンのサブリースは倉庫オーナーの物件と競合しかねない。

 

 アメリカの住宅市場の先行指標が明らかに軟化した。ホームビルダーのセンチメントが急落、既存住宅販売件数および仮契約指数が下落、新築住宅販売が下落、リスティング価格を引き下げる人の数が最大等だ。住宅を買おうとしている人は数週間、様子を見るべきだ。

 

 アメリカで新築住宅の平均床面積が減少傾向にある。1973年には1660sqft(46.5坪)だったが、2015年に2687sqft(75.5坪)となりこれがピークで、以降、縮小傾向に入り、2020年は2261sqft(63.5坪)に減少した。日本は1033sqft(29.0坪)だ。

 

 レジャー旅行が新型肺炎前の水準に戻り、旅先では「エクスペリエンス」型の消費が多い。飛行機のフライトのキャンセルの多発やウクライナ問題等が原因で遠距離へ行く「大型旅行」が意外と伸びず、確実に旅行ができる近場での「ステイケーション」人気が復活している。

 

 マンハッタンのオフィスワーカー達のフルタイムでのオフィス復帰率は8%だ。全米で見て、「リモートワークが好まれる」事と「通勤時間の長さ」には相関がある。ニューヨークの場合、通勤時間が長い上、地下鉄における犯罪の問題がある事も出社をためらわせている。

 

 ファンド大手シタデルのトップで各地で多数の超豪邸を購入しているケン・グリフィン氏は「リモートワークをするには自宅は気が散り過ぎる」とし、「従業員にはフルタイムでのオフィス復帰を求める」とした。ゴールドマンサックスもオフィス復帰を求めている。

 

 ハンプトンズは通年で居住する人間が増加し、通年で開いている病院やレストラン、商店が増えた。高額物件ではホーム・オフィス用の部屋や屋内ジムがマストだ。

 

 ブルックフィールドがアセット・、マネジメント部門の分離を進めている。

 

 ソフトバンクのビジョンファンドが3.5兆円という歴史的な巨額赤字となった。ハイテク株全般の下落の中、同社の大口出資の株はとりわけ大きな下落をした。同社トップ達の報酬が軒並み大きくカットされる中で孫CEOの報酬は据置かれ、不審が持たれている。

 

 中国の70大中都市新築住宅価格指数は8か月連続の下落となった。恒大集団に加えて大手の融創中国もデフォルト、中央政府や地方政府系のデベが伸びている。但し上海政府系の緑地集団だけは様子がおかしい。土地公売での取得も政府系のデベや会社が殆どだ。

 

 オリガルヒのスーパーヨットは制裁から逃れる為に逃げ回っていてこれが面白おかしく伝えられる状態が続いている。ヨットはアングラマネーで買われていると広く言われているが実際はそうでもない。資金のチェックが厳しい上、何よりもヨットは目立ちすぎる。

 

 ロンドンの住宅市場では物件数が品薄状態で、購入希望者たちにいら立ちが募っている。主因は新型肺炎時にロンドン郊外へ逃げ出した人たちが、一斉に市内に戻ろうとしている為だ。どの人間もマンションよりも一戸建てを好んでいる。

 

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