「六曜」「寒川神社」「鬼門を否定する論理」が役に立った国内不動産の担当の時代

 どれも大した話ではないが、昔話として書いておきたい。

 

 「六曜」とは「大安」「仏滅」「友引」等の事だが、最も使えたのが「先勝」だった。

 取り引きの話がまとまり「契約日」を決めなくてはいけない。下手な人間はこれに手間取り、話がもたもたする。

 日程決めの相談になったらタイミングを見計らって、「×日が『先勝』なので、この日の午前中でいかがでしょうか」と提案して押し切る訳だ。これだけでその後の話で主導権を取りやすい。

 

 「寒川神社」というのは「方除け(かたよけ)」で有名な神社だが、東京からの遠隔地さ加減が丁度よい。東海道線の茅ヶ崎駅でJR相模線に乗り換えて4駅目が最寄りだ。

 お客様の中には馬鹿らしいと思いながらも「方位」が心に引っかかっている方がいる。こういう方には「方除け」のおまじないをかけてあげた方が親切だと思う。

 まず「引っ越しの日の当日にホテルに一泊されたら。」と提案する。「方違え(かたたがえ)」である。ただしホテル代と引っ越し業者の拘束2日分がかかるというとかなり躊躇される。

 そこで「不動産業界で方除けとして有名な神社である『寒川神社』に行かれたらどうか」とお話しする。「寒川神社」なら遠いので、当方は同行してほしいとは言われないで済む。これが数ある「方除け」の神社と比べて寒川神社の最も良いところなのだ。

 お客様が実際に行く、行かないに拘らず、心の中での「方除け」は十分にできたものだ。

 

 「鬼門」とは住宅の北東の角にある玄関(門)だが、これは次のように否定した。

 宅造地では各宅地の単価は「北側中間宅地の単価=100」とした時の指数で表す。南側中間宅地は110~120位(実勢の経験値。鑑定評価では異なる)だが、東南の角地は日照が特に良いので130~135程度(同)で売れる。

 東南の角地で日照を生かそうとすると、1階の南側半分にリビングや和室を配し、北側半分に風呂やトイレ、玄関ほかを配する。玄関へは東側の道路から入るので北東の「鬼門」の位置となる。

 つまり「最も評価の高い宅地」の玄関は自動的に「鬼門」になるのだ。

 私がこの論理を用いたのは注文住宅のお客様の所にご近所の「風水おばさん」が現れ、この間取りでは悪いと言い出した時の事だった。

 私は「鬼門」の例をあげ、「現代の都市的住宅では風水より重要な物が存在する」と説明、すると風水おばさんは去り、施主の方は固め終わっていた設計に安堵されていた。

 別に風水を否定したり喧嘩したりはしないが、実損が出そうな時ははっきりと言わせてもらう訳だ。

 

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