世界の不動産投資資金の流れ(6)

 この連載の最終回として、「不動産投資をする側は不動産投資をどう位置付けているか」を見てみたい。

 

 これは百社百様だ。不動産にしか投資しないところもあれば、確固たる本業が別にあり、余技として不動産に投資するだけのところもある。資金規模も極端に違う。

 

 巨額の資金を運用する投資銀行やファンドの場合を想定したい。

 

 彼らは投資資産を「債券」「株式」「オルタナティブ」と三分している。「オルタナティブ」は「代替投資」と訳され、簡単に言えば「その他」だ。不動産はこれに含まれる。

 

 不動産以外のオルタナティブの代表格は「コモディティ」で、原油、銅、金、とうもろこし等々で、東京商品取引所はじめ、世界各地の「商品取引所」で売買されている。

 

 商業不動産は「ビル」「賃貸住宅」「モール(小売商業用不動産)」が中心で、これに「ホテル」が次ぎ、最近は「物流倉庫」が急速に伸びている。「戸建て賃貸住宅」では近年、大規模な機関投資家が何社も誕生した。なお投資の観点からは「賃貸住宅」は商業不動産、「自己居住用の住宅」の場合は居住用不動産とされる。

 

 これら以下の不動産は一挙にニッチになる。流動性が低いが概して利回りが高い。

 

 例えば「学生寮」だが、大学が用意する学生寮は相部屋で不衛生なことが多い。従って割高でも民間の寮に需要がある。最近、人気が出ているのは「生命科学ビジネスへ貸すビル」で、実験向きに作られ需要が急増していて投資家からのニーズも大きい。

 

 その他、ニッチな物はいくらでもある。例えば、新型コロナに対しより安全だとして、ドライブスルーの売り場があるハンバーガー店は無い店より10-20%くらい高く評価される。

 

 アメリカのリート(不動産投資信託)制度では法律上では不動産に入らない物でもリートとなりうる。携帯基地局の施設を保有するリートはリートの中で時価総額が最大だ。ケーブル保有に特化したリートも在宅勤務で通信量が増えるとの期待からが人気化した。

 

 変わり種のリートとしては民営刑務所や、道路脇の広告看板に投資するものもある。

 

 日本の不動産ビジネスには、まだまだ無限の可能性があると期待できることは明らかだ。

 

  週刊住宅 2021年3月22日号掲載

 

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