アメリカの不動産検索サイトのジローが、予期せぬ形で使われている

 まずは不動産の話から入りますが、途中からは「気晴らし」としてお読みください。

 

 アメリカの不動産検索サイト最大手はジローです。(ニューヨークでだけ例外的に『ストリートイージー』という名称で営業をしています。)

 ジローのサイトへの訪問者(ビジター)は物件を探している人=潜在的な購入者のはずで、この人数の増減は市場の先行指標の一つとして参考にされていました。

 

 新型コロナでこれがどうなったかをニューヨークの場合で見てみましょう。同市は3月22日からロックダウンされ、ジローへの3月中旬のビジター数は前年比で30%の急減をしたのですが、4月第2週ではもう8%減少にまで回復しました。その後もビジター数は増加し続け、前年比で20~30%増となっています。

 

 しかし増加したビジターの多くが、不動産購入のための検索とはまったく異なる予想外の使い方をしていました。 例えば買うつもりなぞ全然ない遠方の家についてジローから詳細な情報を得て、それに周辺の施設等の情報を重ねて「違う人生」を想像して楽しむのです。インスタグラムで目星をつけた家をグーグルのストリートビューで特定し、ジローで楽しむ人もいます。

 

 中高生たちは友人の家に集まってみんなで騒ごうという時に、事前にその家のトイレの場所をチェックしています。 ある弁護士は一日の仕事を始める際にまずジローをチェックすることを日課とし、別の主婦はジローの価格算定システムに自宅とご近所さんのデータを定期的に入力、その評価額の上下に一喜一憂しています。

 

 ジローには「物件ごとにコメントを書き込む欄を作ってほしい」という要望が多く寄せられています。物件のサイトを見た意見や気ままな空想をある人が書き込んだら、別の人間のコメントが連鎖していくことで、みんなで楽しむことができるようにしてほしいという要望です。しかしこれではジローのサイトがツイッターもどきのSNS化しかねません。

 

 以上のような話は不動産業界には無関係なように思えますが、大変なプラスになりうるのではないのだろうかという見方が出てきました。これをきっかけに「家を買うことなど意識もしていなかった人」も住宅市場に参加するようになるのでは、との期待です。

 

                                                        ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

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