CBREは商業不動産仲介・サービス業で世界最大、拠点数は480ヶ所もある。
仲介・サービス業は取引の際はいわば「黒子」だが、同社がタイムリーに発表する市場の分析は社名入りでメディアに実によく登場する。
合従連衡が激しい業界なのでそれを中心に整理しよう。
日本においてはCBREとオフィス仲介の老舗・生駒商事の提携により1999年に生駒CBリチャードエリスが誕生、同社はその後CBREの100%子会社となった。
アメリカにおいて、現在のCBREが誕生するに至る経緯はとんでもなく複雑だ。
そもそもCBREというのはコールドウエル氏、バンカー氏、リチャードエリス氏の頭文字を並べたものだ。
最初の二者が「コールドウエル・バンカー」という不動産会社を作り、その商業不動産仲介部門が分離されて「リチャード・エリス」と合併し、CBリチャードエリスとなり、社名変更で現在のCBREとなっている。
この一連の流れの中で、百貨店のシアーズの子会社になったり、ファンドと組んで経営者が自社を買収したり、別のファンドにLBOをされたりがあった上、さらに上場を二回も行っているのだ。社名には残っていないM&Aで統合した会社は数知れずある。
業界第2位のJLLは以前はジョーンズ・ラング・ラサールと表記されていた。こちらはジョーンズ・ラング・ウットンとラサール・パートナーズが合併した会社だ。現在の拠点数は300ヶ所である。
業界第三位はクッシュマン&ウエイクフィールドで拠点数は400ヶ所だ。
同社はRCAから1976年にロックフェラー・グループへ売却された。1989年に三菱地所が同社を買収したが、狙いは超高層ビル群でありクッシュマン&ウエイクフィールドは付録だったので、後に売却された。三菱地所は今も「ロックフェラー・グループ」という社名の子会社で海外で事業展開、誤認を呼びやすい社名だが法的な問題点はない。
クッシュマン&ウエイクフィールドが行った合併にはヨーロッパの商業不動産仲介・DTZがあるが、これも三人の頭文字を並べた社名だ。
いかに人的資本が重要な業界であるかがうかがえる。
ジャパン・トランスナショナル 坪田
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