「SLグリーン」

 ニューヨーク本拠の大手デベ群には同程度の規模の会社が数社あったのだが、超巨大開発であるハドソンヤードを手掛けたリレイティッドが今は明らかなトップだ。

 

 従ってSLグリーンは二位集団の中の最も有力な一社という状態になった。僅かながら商業施設も保有しているが、資産のほとんどはオフィスビルである。

 

 直近ではグランド・セントラル駅に隣接した「ワン・バンダービルト」を竣工させた。77階建てで高さ427メートル、マンハッタンで二番目に高いビルである。同社は事業費を33.1億$(3510億円)としている。竣工時の稼働率は67%なのだが、残りのリーシングについて新型ウィルスからの影響を受けている。決定済みの主要テナントは銀行、ファンド、大手弁護士事務所だ。展望台もあるがニューヨークでは超高層ビルの展望台ラッシュが起きていて、観光が復活しても思うような集客ができるかどうか、不明だ。

 

 一方、ニューヨーカーの好みに変化が見られることはポジティブな話だ。当地では建物が「渋い」事を評価する人が多いのだが、最近のビルのリーシングではハドソンヤードも含め、新築の「グリッツィ(ギンギラした)」なビルに人気が出ている。

 

 ちなみに隣接する「グランド・セントラル」だがニューヨーク最大の駅でプラットホームの数が44面もある。東京駅は14面か15面のようなので、ホーム数では比較にならない。 SLグリーンは2018年に、中国のHNA(海航集団)からマンハッタンの大型ビル、245パークアベニューの支配持分を22.1億$(2340億円)で購入している。最近では大型ビルを11億$(1170億円)でカナダのブルックフィールドへ売却交渉中だ。

 

 なお同社は「リート」なのだが、アメリカと日本のリートはかなり異なる部分がある。 例えば日本のリートは専用の法律に基づいた特殊な会社だが、アメリカのリートの圧倒的多数は普通の株式会社であり、「リート適格」を満たすことで税優遇を受けられるという仕組みだ。また自ら開発した後にそれを保有する事が認められていて、この点を日本と比較するとリートよりもオフィスデベの方に近い。ここで紹介した「ワン・バンダービルト」はその例である。普通は「不動産」の範疇ではないものも、「リート適格」を満たせばリートとされる。例えば携帯基地局アンテナや海底ケーブルなどだ。

 

                    ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

 

週刊住宅 2020年10月19日号掲載