レナ―はアメリカ最大規模のホームビルダーの一つで、同業にはDRホートン、パルトグループ、トール・ブラザーズ等がある。
アメリカのホームビルダーは、日本の注文住宅メーカーというよりは建売のパワービルダーの方に近い。
そもそも日本のようにせいぜい2、3千万円程度の規模の住宅工事で、敷地条件等に合わせて注文主の要望を聞いて融通無碍な間取りで建ててくれるという親切な話は、他の国では聞いた事がない。
レナ―は大規模宅地造成業者とタイアップし、完成した宅地の上にしかるべき数の間取り(プラン)を用意して来場客に提示する。着工前なので顧客は何種類のプランから選ぶことが可能だ。さらに敷地が許せば、増築にも応じる。仕様の選択も可能だ。
これをアメリカでは「カスタムメイド」と呼んでおり、訳せば「注文住宅」になるが日本のそれとはかなり話が違うわけだ。
レナ―は自分の判断で着工し、建築途上の物や竣工済みの物を販売する事もある。
以上のような次第で、アメリカのホームビルダーは日本では建売会社の方に近い。
さて、アメリカの新築住宅は以前から大きかったのだが近年ますます巨大化した。2020年2月発表のデータによれば面積のメディアンは2386sqft(67坪)もあるのだが、これは20年前の1.16倍、40年前の1.5倍だ。住宅金融支援機構によれば日本の新築戸建ての平均面積は38坪だそうで、この数字を用いればアメリカの新築住宅は日本それの1.8倍だ。
アメリカの戸建ては木造なのだが、ヨーロッパ人はなぜアメリカ人は住宅を石なりレンガで作らないのかと不思議に思っている。木では「たかだか100年か120年しかもたない」というのだ。
私はこれは「2×4」がある時、アメリカで何かの拍子で製材の統一規格になったせいではないかと想像している。部材がすべて「2×4」の規格でできていると建築工事がかなり容易になり、かつ頑丈な住宅ができる。日本の大工さんに求められるような難度は不要になるのだ。少しの熟練だけで建築可能というのが、アメリカ人に受けたのではないだろうか。
週刊住宅 2020年6月29日号掲載