生き残っていた「ボストンコンサルティング」と、だんだんずれてきた昨今の私

 当方、後述のようにそうとう社会とずれてきたという前提で、下記を書いている。

 

 ネットニュースで「ボストンコンサルティング・日本代表」という方の対談を見た。

 何より驚いたのは日本で未だに「ビジネスコンサルタント」という商売が生き残っていた事だ。30年前に大手ビジコンさんとお付き合いをしたのだが、その時に「ビジコン」のようなビジネス形態は(日本では)長くは持つ訳がないと思い込んでいた。

 

 彼らと一緒に作業をすると資料作成能力が非常に高く、プレゼンも上手だった。ただ当時、経済誌がさかんに持ち上げていたほど、頭が特別に良いとは思えなかった。

 30年前のテーマは「バブル崩壊後の不動産ビジネスの方向性」だったのだが、ディスカッションを通じて我々の思いを70%くらい代弁してくれた点は感謝した。一方でビジコンさん独自の見解(ご託宣)の部分は先入観にとらわれたお話にならない代物で、これは不動産業界を知らないのだからある意味では仕方がない。

 それで「ビジネス・コンサルティング」という仕事は早晩、なくなると思っていた訳だ。

 

 いわゆるビジコンの方々に欠落しているように思うのは、「十分に機能した組織人」としての経験のように感じた。

 組織では、一人の力を「1」とすると、3人チームで「1」+「1」+「1」が「10」とか「100」とか、場合によっては「1000」になる。

 日本初の超高層ビル「霞が関ビル」にしても、日本初の本格的モール「ららぽーと東京ベイ」にしても、担当チームはせいぜい3人か4人だ。こんな少人数であんなにすごい巨大プロジェクトを実現してしまう、これこそが組織の持つ力だ。

 

 ビジコンの人はこういう働き方をしたことがないのではと疑う。会社勤めの経験があっても、「1」+「1」+「1」をせいぜい、「1.5」+「1.5」+「1.5」=「4.5」とする経験しかしていないのではないだろうか。

 我々は三人の「1」で、「10」か「100」を目指している訳で、体験している世界が違うのだ。

 

 以上、批判まがしい事を書いたが新型肺炎後、当方、実は非常に自信喪失状態だ。

 先日、3か月ぶりに銀座に行った時に、街になにか違和感を感じた。上記のビジコンへの悪態もピント外れかも知れない。

 

 世間とずれてきたと感じたのは、例えば次のような体験からだ。

 「最近、冷凍食品が進歩した」とテレビで言っていたので近所のスーパーのレトルト食品等がある棚で探したのだが、それらしきものはない。店員さんに「冷凍食品はどこにあるのか」と聞いたら、「冷凍食品は冷凍食品売り場にある」と言われた。その通りだった。

 「コンビニのスィーツが熱い」という記事を読み、近所のコンビニで、「スィーツってどこにあるんですか」と聞いてしまった。ローソンの店員さんは嫌な顔一つせずに「スィーツのコーナー」まで案内してくれた。聞くまでもなく見ればわかる話だった。

 ユニクロではサイズが店舗にはなかった。店員さんがオンライン・ショップならあるといいアプリのダウンロードから発注まで手ほどきしてくれた。店舗の中でオンラインで注文するという人は珍しいようで彼もアプリに慣れてなく、レジはもっと慣れていなかった。

 

 こういう一連のずれがひと月の間に立て続けにあると、自分を考え直すわけだ。

 娘に「最近、ずれてきた」と告白すると、「パパは前からずれていた」と言われた。

 

 それにしても、あまりにも軽薄なリモートワーク論議が多いので辟易としている。「1」+「1」+「1」=「3」みたいな話しかできない人間たちは、いい加減にしてもらいたいものだ。