ロックダウンが緩和されても、オフィスへ完全復帰できるのは驚くほど先に

 在宅勤務に飽きた(疲れた)人たちの多くがオフィス勤務に戻りたがっている一方、オフィスのフル再開には大変な時間がかかりそうだ。ニューヨークの金融業従事者35万人のうち12月末までにオフィスに戻れるのは僅か29%という予測もある。

 

 ハドソン・ヤードを開発しているリレイティッドのCEOは、同開発の商業棟のアンカーテナントのニーマン・マーカスが破産申請した事について、床が空いた場合には問題なくオフィスとして埋められ、同棟の他の商業施設のトラフィックもその方が多くなるとした。

 

 ホテルの立ち上がりは近場の需要が急増している。新しい旅行形態として週末2日や一週間連続の宿泊といった「ステイケイション(stay+vacation)」が注目されている。一方、資金繰りの困難さが表面化したホテル群もある。

 

 アメリカでは新型肺炎のロックダウン明けに人種暴動が重なり、小売店が最も影響を受け、ホテル、オフィスも影響を受けた。

 

 ソフトバンクなりビジョンファンドは相変わらず悪い話の方が多く、ビジョンファンドでの人員削減は内部対立を反映した的外れなものになっている。みずほ銀行はソフトバンクを含めて「リスクを取り収益を狙う戦略」だったが、裏目に出ると大問題になりかねない。

 

 テナントの家賃未払いについて訴訟に踏み切る家主会社が増えている。4,5月分の未払い家賃は猶予期間が過ぎている。

 

 サイモン・プロパティの動きが急だ。同業の高級モールのトーブマン・センターの買収を取り下げる一方で、JCペニーやブルックス・ブラザーズ(紳士服)を買収する方向だ。フォーエバー21(女性衣料品)やアエロポステール(若者向け衣料)を買収済みである。

 

 アメリカの住宅市場はロックダウン明け、非常に活気がある。新型肺炎を避ける為に人口密度が高い都市の中心部から郊外部へ、それも従来からの郊外の住宅からその外側にも人気が出ている。買い手は都心に保有する住宅を手放さずに新たに買っており、また全額現金という購入者も多い。賃貸住宅の家賃徴収率は90.8%と、思われていたよりも高かった。

 

 一足先にロックダウン明けした中国では、70大中都市新築住宅価格指数の5月分が4月分よりもさらに上昇、不動産投資も伸びている。主要28都市の5月分についての調査では、ほぼ半分の都市で住宅販売件数が新型肺炎前の水準を超えている状態。

 

 香港は新型肺炎や中国による国家安全法問題で揺れているが、新築マンションの売れ行きは非常に良い。一方で富裕層は香港脱出を視野に手を打っているとされ、相反する状況だ。強いて言うなら、香港ドルの急落を予想して現預金を実物資産に替えておくという動きか。

 

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

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