三井不動産の「ワークスタイリング」は新型肺炎後のオフィスのモデルの一つに近い

「オフィス」の形の今後だが、英バークレイズが進めている「サテライトオフィス化」は、三井不動産の「ワークスタイリング」事業がこれに近似している。「リモート協業」も有効だ。「コワーキング(シェアド・オフィス)」は社会的距離に反する。IT会社の中には、イミグレ等が面倒な事もあり75ヵ国のスタッフがリモートワークを実施している会社もある。

 

 ソフトバンクは2週間前にビジョンファンドで1.8兆円の損失としていたが、今回はビジョンファンド以外で1兆円の引当損の見込みとした。WeWork向けのコミットメントは合計で143億$(1.51兆円)。本件ではメディアごとに取り上げる数字が異なっている。

 

 ソフトバンク/ビジョンファンドの出資先では悪い話が圧倒的に多い状態が続いている。今回はオヨ(ホテル)、滴滴出向(中国)、ウーバー(米)、グラブ(シンガポール)、グリンシル(英)についてネガティブな記事が出た。オヨは売上げと稼働率がともに50-60%下落。

 

 モール会社は財務的に家賃を支払えるのに支払わないテナントを洗い出している。オフィスビルでも賃料の徴収率が下落している。住宅家賃については「支払いを拒否しよう」という呼びかけがSNSでされている。住宅ローンの返済を止める者も多く、未収家賃をしばらく代行して投資家に配当する「サービサー」にしわ寄せが生じ、政府が救済策を出した。

 

 実店舗型の小売会社は新型肺炎前から不振だったが、それが一気に加速した。JCペニー、ニーマン・マーカス(5/7破産申請)、ロード&テイラーは破産申請が近く、メイシーズは不振から抜け出せない。実店舗会社の中で好調なのはウォルマート、ターゲット、クローガー。

 

 「ショッピング」が今後、どう変わるかという議論がされている。人込みが嫌われ店舗は予約制になるかも知れない。レストランも嫌われ、自宅での料理が盛んになるかも知れない。「ディスカウント店」は金融危機後、皆が抵抗なく買い物をするようになった。

 

 ホテル、レストラン、カフェ、映画館他の「ホスピタリティ業界」が店舗再開の段取りを検討しているが、いつ頃、平常に戻るかについては見方が分かれている。今年11月頃には戻るという見方と、最低数年はかかるという見方がある。旅行は近場から復活しそうだ。

 

 中国でロックダウンが緩和され、世界中から各種分野での復活状況が注目されている。ホテルやAirbnbは予想より早く、予約が回復している。5月初めの5連休の出だし二日間の旅行者数も多い。小売業界は増加した業界と半減したままの業界がある。

 

 アメリカの15の高級ホテルについて、中国の安邦保険が韓国のミラエ・アセットに58億$(6150億円)で売るとしていた契約が流れた。互いに相手の非を主張している。

 

 ブラックストーンが北京と上海に優良ビルを保有する香港上場のSoho中国を買収するという話が以前あったが、売買交渉は停止している。資金市場が不安定な為と見られる。

 

 シンガポールの50階建てのアクサタワーを、中国のアリババとシンガポールの不動産会社が合弁で16.8億S$(1260億円)で購入する。アリババがアンカーテナントになる。

 

 シドニーがあるオーストラリアのサウス・ウエールズ州では税制改革を予定している。100万豪$(7000万円)の住宅を購入した時のスタンプ税は現在は4万豪$(280万円)もする。

 

 ロンドンの高級ホテルのリッツは双子の兄弟が所有していたが、片方の一族主導で8億£(1060億円)未満でカタール人に売却されたが、その前にもう片方の一族にサウジのファンドから13億£(1720億円)でのオファーがされており、双子の一族間で訴訟となっている。

 

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

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