「開成の自由」と「駒場の自由」

 東大合格者数最多を30数年続けている開成高校がテレビで出てきた。「自由」が売り物なのだそうだ。

 私の母校も「駒場の自由」というのを謳っていた。東大合格者は人数的には開成に負けているが、一学年の人数が少ないので密度的には勝っている高校だ。私の学年では約170人のうち80人くらいが東大に行ったと記憶する(*)。

 

 「駒場の自由」を旗印にいろいろやらせてもらったわけだが、あとで思うとあれは先生方にとっても「駒場の自由」だった気がする。「何を教えようと自由」だったのだ。

 高校の授業で教わったのは、こんな感じだ。

 

数学:「整数論(素数の話ばかり勉強した)」

化学:「エンタルピー(高一の時で、参考書を買ったら大学の教科書だった)」

生物:「ハツカネズミのDNA解析実験」と「ショウジョウバエの遺伝子地図実験」だけ?

地理:「世界地図の技法10数種」と「マルサスの人口論」だけ

日本史:「魏志倭人伝」と「明治の条約改正史(あと少しの所で時間切れになった)」だけ

世界史:西洋史が「ギリシャ・ローマ」まで、中国史が「唐の途中」までだけ

政治経済:「貨幣数量方程式」だけ覚えている

倫理社会:何の話をしているのか最初から最後までわからなかった

音楽:一年かけてベートーベンの9つの交響曲の4つの楽章を全て「リコーダー」で吹いた

 

 私は特にひどい方かも知れないが、これでは「バランスが取れた教養」を持った人間は同級生の半分もいないと思う。社会に出てからしばらくたった時に上司と鎌倉に一緒に行き、あまりの教養のなさにあきれられてしまった。

 

 私は区立の(共学の)中学を卒業して高校から入学したのだが、学内には女性が2人しかいなかった。一人は「売店ババー(通称BB)」で、もう一人の保健室の先生はすぐに去った。学校の性格からやたらに東京教育大(当時)から「教育実習生」が来るのだがその時だけ、女性がいた。

 

 大学は理数系で入学、物理学者になるつもりだった。しかし自分では得意だと思っていた数学や量子化学の授業について行けずに挫折、いろいろ人生を模索しているうちに気が付いたら不動産屋になっていた。

 

 50才近くの時、高校では普通はどういう事を教わるのか知りたくなり、NHKテレビの高校講座を録画するのが習慣になった。結構、面白く、先生の話に合の手を入れる役の女性がみな良くて、都合4科目を2回ずつくらい見た。生物は「鈴木ちなみ」だった。あしかけ3年、見ていた。

 大学の演劇仲間の後輩の女性がNHKに入り作った教育番組が世界的な賞をもらい、美智子さまとお会いしたという出来事があった。NHKの教育番組はすごく優れているのではないだろうか。

 

 私たちの世代は共学の都立の高校に進むのが普通で、彼らの話はうらやましかった覚えがある。劇なんかは、男女でやった方が面白いに決まっている。

 変なところもいっぱいある高校だったが、「自由」というのは一度、味わってしまうともう逃げれないものだ。友人にも恵まれたし、母校にはすごく感謝している。

 

(*)追記:筑駒卒業後に母校で教職を取った友人に聞いたら、最終的に99人だったそうだ。

 

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