サイモン・プロパティが同業のトーブマンセンターを36億$(3960億円)で買収

 SCリート最大手のサイモン・プロパティが、同業のトーブマンセンターを36億$(3960億円)で買収する。前者は235ヶ所、後者は26ヶ所のモールを運営している。一般にモールは不調だが、サイモン・プロパティの場合は調達金利が2-3.5%で今回の投資利回りは6.2%。

 

 日本で活動家株主(もの言う株主)の活動が目立っている。ソフトバンク、東京ドーム、TBS、ユニゾ等に現れた。活動家株主は2019年は通年で75件のイベントがあったが、今年はすでに9件が起きている。銀行の影響力の弱体化が活動家株主の活動の多発を呼んでいる。

 

 ソフトバンクに活動家株主のエリオットが株付けし、200億$(2.2兆円)規模の自社株買い、意思決定プロセスの透明化等を要求した。ソフトバンクではビジョンファンドが2四半期連続の大型赤字となり、アナリストからも同ファンドの不透明性に批判が出ている。

 

 WeWorkの新CEOは不動産畑の人間と決まった。同社は「IT会社」だと称していた。

 

 ニューヨークの大型開発で住民運動と対立する例が増えている。論点は様々だが、「建てる建物の高さが高すぎる」というプロジェクトで多いように見える。

 またアメリカでは開発や企業の誘致のために州や市から「インセンティブ(優遇措置)」がデベや企業に提供される事が多いが、これに批判が出ている。インセンティブを提供して誘致しても実際は波及効果は少ない、国レベルで見るとゼロサムゲームといった批判だ。

 

 ニューヨークでは、住宅を新たに借りるテナントは自己発見取引でも不動産仲介業者に間に立ってもらい仲介手数料を払うが、これは他の都市ではあまり見られない慣行だ。手数料は通常、家賃1年分の15%で、この慣行を巡り廃止か存続かでどたばたが起きた。

 

 アメリカで不動産ファンドに集まる資金の額が減少している。昨年全体の調達額1510億$(16.6兆円)の中で、第4四半期の調達額は180億$(2.0兆円)にとどまった。一方で本来「債券」に投資するはずの資金がジャンク債よりマシとしてリートへ投資している。

 

 中国勢のアメリカの商業不動産市場からの撤退が続き、サンフランシスコでは大型の損切売却があった。2019年は日本勢、カナダ勢、イギリス勢も売り越しになった。

 

 新型肺炎の影響が不動産にも出ている。中国のデベは販売が停止し資金繰りやデットの償還に問題が出る可能性がある。北京や上海では自宅でチャットアプリを用いて仕事が進められており、超大規模な「在宅ワーク」の実験となっている。マカオのカジノは悲惨な状態。

 

 日本人はすぐに建物を壊すと批判されるが、イギリスでは建物の保存にこだわり過ぎるとの反省が出ている。倉庫だった建物を住宅に切りなおすと窓がない等、居住に適さない部屋になりかねず、「歴史的(注:古い)」とされる建物でも建て直すべき場合があるとの主張だ。

 

 ベルリンは東ドイツの時代からの流れで住宅は賃貸が主流だが、不動産ブームのためにその家賃がこの10年間で倍になった。そもそも安すぎた面があるのだが、ベルリン市役所は家賃凍結という荒療治に出た。しかしこれはますます新規供給を細らせてしまう。

 

 アメリカで物流倉庫事業に曲がり角が来そうだ。今年は供給が需要を上回る見込みだ。

 

 高級ブランドの名を冠したラグジュアリー・マンションやビラが増えている。ブルガリ、ドルチェスター、アルマーニ、ベルサーチ等で、自動車メーカーではアストン・マーティン、ブガッティが手掛けている。

 

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

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