アメリカの大統領選:民主党の「老・老対決?」とブルームバーグ

 先日、書ききれなかったアメリカの大統領選の見通しの話、こんなのを私のような不動産やが書いたってあたるわけが無いのだが、書きたいことを書いておきたい。

 

 共和党はトランプなわけだが、民主党はどうなるのだろう。

 

 アイオワで一位とされたブティジェッジ氏はアメリカ人でも発音が難しいそうだが、緒戦に手持ちの資金をつぎ込むという作戦が見事にあたった。問題はこれで今後、追加の選挙資金が集まるかどうかのようだ。

 超過激な左派の女性候補者のウォーレン女史が早めに脱落すれば、似たように過激な左派のサンダーズにその票が集まるので彼に有利となる。 

 問題は最有力とされていた中道派のバイデンじいちゃん、アイオワで4位と惨敗し、早めに降りちゃう可能性が出てきた。彼は早くも疲れを感じ、これではワシは体力的に最後までもたんと感じているのでは?

 ちなみにバイデンじいちゃんは「さわり魔」としても有名だ。公衆の面前で堂々と女性にさわる。セクシャルな物ではないのだが不意にさわられた方は気持ち悪いわけで、何年か前に女性達が「むやみにさわるな」と抗議した。この「さわり癖」への抗議は去年もまだ続いていた。

 

 ここで中道派のブルームバーグが本格的に登場する?。彼にはバイデンの票が流れそうだ。

 ブルームバーグという人、有名な情報会社のブルームバーグの創業者でフォーブスの世界の富豪500傑に入っていて、トランプより一桁、資産が多かったと記憶する。選挙資金を苦労して集める必要がないわけだ。

 もしブルームバーグ対トランプということになると、史上初めての「超富豪同士の対決」という事になる。

 彼はニューヨーク市長の時代、「ビジネス・フレンドリー」とか「プロ・ビジネス」と言われ、不動産業界も開発規制の緩和でずいぶん恩恵をこうむった。ニューヨークに住んでいるから民主党(のふりをせざるを得ない)なので、本当は共和党的なのではないかと思う。

 去年のブルームバーグの出馬表明の時は表情も変だった。

 そもそも出馬表明の時期が非常に遅かったのだ。民主党内のサンダーズとバイデンとウォーレンとの争いがあまりにも救いようがなく、見てられないので(気が進まないが)立候補する、という表情に見えた。

 

 トランプにしたって、3年強前、自分が本当に当選するとは思っていなかったフシがある。「大統領選出馬歴がある」で十分満足だったのに、途中からその気になり本気になってしまったような感じだ。

 トランプみたいに売名のつもりの人とか、ブルームバーグのようにいやいやながらの人とか、こういう人でも大統領になることがあるわけだ。

 もっとも大昔を振り返れば、レーガンなんて当時としては非常に高齢だった。「パートタイマーで大統領をやっている」といわれたほど執務時間が短かったが、彼は名大統領とされる。トランプにしても最初はどうなることかと思われたし今でも安定感や安心感には欠けるが、立派だなと思う点も多々ある。

 アメリカ人はえらいなと思うのはこのあたりだ。「売名目的」でも「いやいやながら」でも、自分がなんらかのポジションに着いたらその責任は果たすというカルチャーがあることだ。

 この点では日本もまあまあだが、諸外国にはかなりひどい国がある。

 

 そんなわけで、補足情報を二つ。

 まず、民主党で当初予想されたサンダーズ対バイデンの後期高齢者同士の「老・老」対決では二人とも大統領一期目の任期終了時点では81だか82になるわけだが、アイオワ州の惨敗(4位)でバイデンが降りる事になるとしよう。

 すると民主党はたぶんサンダーズ対ブルームバーグの「老・準老対決」になると思う。(ブルームバーグは73か74でまだ前期高齢者だったと思う。)

 アメリカの大統領は基本的に激務であり、それに耐えうる体力があるかどうかも激務の選挙選を通して観察されるわけだが、ここで問題となるのはサンダーズがこの間、受けたとされる心臓のステント手術だ。

 これは相当厳しくやられると思う。「あなたは本当にだいじょうぶなのですか?」

 

 経団連でアメリカにいたある大物の講演の中で、彼は「ブルームバーグはアメリカ人に嫌われている」と言っていたそうだ。これは初耳だ。「ド金持ちで態度がでかい」からなのだそうだ。

 たしかにニューヨーカーみたいなリベラルの牙城みたいな町でしかたなく民主党に入っているけれど本当は自分は共和党志向なんだということなら、見抜かれてしまってそうとう嫌われる。

 でもこの講演をした人はワシントンにいたエリートだった。ワシントンは貧困者が多い町だが、彼は主にアッパーな人たちと付き合っていたはず。貧困層から「民主党のくせにド金持ち」として嫌われたのかもしれない。

 

 まあブルームバーグとトランプなら「ド金持ち対決」になっても、よいと思う。

 しかしサンダーズみたいな「超高齢者」はだめだ。

 というのも私の場合だが、ここ2、3年、いろいろな人を許せるようになってしまった。自分では人間に円熟味がついたのかと思っていたのだが、どうも違うのだ。

 大部分のことはどっちでもよくなり(どうでもよくなり)、その結果、許せてしまうんだと思う。

 アメリカの大統領はこれではいかん。

 

 いろいろ書き散らしたが、日本では最終的にはトランプが勝つと思われている。

 しかしアメリカの大統領選挙というのは全国民が参加して1年近くかけてやる「スーパーボール」なり「競馬」みたいなものだ。今後、大統領選に関するメディアの報道は、民主党の予備選に集中して盛り上がる。

 盛り上がったままこれが大統領選の本選に流れ込むわけで、まだまだどっちか分からないのではないかと思う。

 

(追記)

 ブルームバーグの年齢を確認したら「77才・後期高齢者」だった。バイデン「77才」、サンダーズ「78才」だ。ちなみにブティジェッジは「38才」。トランプは「73才」だ。

 日本だったら「老人ホームはどこがいいか」を家族が検討し始める年齢の人間が主な候補者なのだ。