ロンドンで史上最高額の住宅取引。しかしそう認定できるかは不明

 ロンドンのナイトブリッジで2.1億£(302億円)の住宅取引が成立、これはマンハッタンでの記録2.38億$(261.8億円)を超す。買主は香港のCCランド会長のファミリー・オフィス。元は4戸だったタウンハウスを連結した物件で、買主がこれを再分割するのかは不明。

 ニューヨークでも9270万$(102.0億円)と、同市第三位の巨額マンションが成約した。

 

 イギリスの総選挙でジョンソン首相が圧勝した事をきっかけに、ロンドンの商業不動産市場や、ロンドン・イギリス全体の住宅市場が活気づき始めている。前記の2.1億£(302億円)という巨額の住宅取引の発生も、ムードを改善させている。

 

 ソフトバンクの孫CEOがビジョンファンドから出資した各社に対して「拡大・シェア獲得最優先」から「利益も重視せよ」と方針の大変更を求めたことから、コスト削減のためにリストラを実施する会社が続出している。中でもソフトバンクが一時「インドの宝石」と呼んでいたホテル会社「オヨ」の様子が最もおかしい。

 

 ソフトバンクの孫CEOはインドネシアの首都移転に最大400億$(4.4兆円)を出す意向を示した模様だが、これは移転費用見込み総額の340億$(3.74兆円)より多く、不思議だ。

 

 WeWorkは昨年9月にIPO申請を取りやめたが、このような騒ぎの中でWeWorkを借りようとする者は極めて稀であり、同社の10-12月のリーシングは悲惨な状態になった。

 

 ハドソンヤードでは三井不動産が投資したビルにフェイスブックが移転を決めるなどオフィスは絶好調だが、マンション2棟の販売は調子が悪い。竣工済みの棟は契約率60%で、建設中の棟は143戸中13戸(9%)しか売れていない。

 

 アメリカのモールの空室率が9.7%と記録を取り始めた2000年以来で最大となった。金融危機後のピークは2011年の9.4%だ。しかし家主の多くはテナントが要求する家賃引き下げには抵抗している。家賃を引き下げたくらいではテナントの経営は改善しないからだ。

 

 シアーズの破産法11章手続きが進んでいるが、弁護士等の各事務所への支払額は合計2億$(220億円)に達する事になる。アメリカの破産手続きでは債務者への弁済は少なくなる一方で弁護士等は大儲けするという状態が常であり、これは昔から問題視されている。

 

 中国の不動産デベはドル建て債に殺到、中でもトップデベの恒大集団はかなり高い金利での巨額の社債発行を強いられている。同社は電気自動車開発にも巨額を投じている。

 

 香港の抵抗運動の影響が、小売ビジネスおよび売上高歩合の賃料を受け取る家主にはっきりと現れてきた。路面店の家賃は15%下落、宝飾品販売で世界第2位の周大福ジュエリーは香港の約90の店舗のうち、15店を閉店する。中国人観光客の激減が効いている。

 

 インドについてはにわかに想像できない話がかなり混じる。まるで一時期の中国だ。

・南インドのケララ州で当局は19階建て等のマンションを2棟を違法建築として爆破した。さらに近々2棟も爆破する。

・インドでは州レベルの政府が外国企業との契約を守らずプロジェクトの見直しやキャンセルをする例が多いため、インドの中央政府は外国人投資家の保護の為の立法を行う。

・インドでは10年間で500万戸という爆発的なマンション供給が起きたが、工事が停まる、または3年以上の遅延をしている物が45万戸ある。ニューデリーやムンバイ他周辺には数百か所のゴーストタウンがある。

 

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

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