三菱UFJと三井住友がソフトバンクからの融資打診を断り、距離感に変化

 ソフトバンクと銀行の「距離」に変化が起きた。同社が3000億円の借り入れを求めた所、三菱UFJと三井住友は後ろ向きの模様だ。ソフトバンクは投資先の不振が次々と明らかになっていて、特にインドでの投資でそれが著しく、中でもオヨに疑問が持たれている。

 

 ソフトバンク/ビジョンファンド問題により、企業会計の議論が高まっている。両社の決算書は会計規則の例外部分の採用が多いのだが、規則を守ってはいる。しかし「例外の額」が両社ともあまりにも巨額で、両社の決算書は企業実態を適切に表しているとは言えない。

 

 WeWorkについてソフトバンクの孫CEOは「再建は単純だ」としたが、たぶんそれは大きな間違いだ。コワーキング事業と比べると携帯電話と非常に複雑だが、電波の割り当てさえ取得できれば競争は極めて限定的だ。一方コワーキング・ビジネスの参入障壁は非常に低い。

 

 WeWorkジャパンはWeWorkにとって世界で2つしかない黒字国だ。渋谷で新規オープンした拠点は3500席もある。同社は東京では好調で横浜や西日本は不調とのこと。

 

 アメリカ発の「ブラックフライデー」は世界に広まった。本家のアメリカでは今年はオンライン通販が好調で、実店舗が不調だ。ブラックフライデーの売上高は当日にもう発表されているが、これは事前のアンケート調査から全米小売業協会が景気付けで発表する数字だ。

 

 今年年初にクィーンズでの第二本社計画を撤回したアマゾンが、ハドソン・ヤードの近隣に33.5万sqft(9400坪)のビルを借りる。三井不動産が参画しているリレイティッドが開発中のハドソン・ヤードの近傍と思われ、この地区一帯の開発に加速が着く。

 

 ブラックストーンは戸建て住宅レンタルのインビテーション・ホームズの全株の売却を完了した。利益額は70億$(7700億円)と投資額の倍だ。ブラックストーンは不動産保有額で世界で一、二を争うファンドだが金融会社であり日本の不動産デベの参考にはならない。

 

 中国の経済・金融は状況がかなりおかしい。バブルを破裂させないようにしながら金融を引き締めており、不動産ビジネス各所にしわ寄せが来ている。武漢では緑地集団の超高層ビルの建築工事が止まり、不動産デベはドル建て債も含めて借金が積みあがっている。

 

 シンガポールでは依然としてラグジュアリー住宅の供給過剰が著しく、現在の販売ペースで行くと4年分の在庫がある。一方、シンガポールはいつの日か香港に追いつきたいと昔から願っていた。しかし香港の今の混乱は誰も望んでいないという面もある。

 

 イギリスのM&Gが運用する商業不動産ファンドの解約引き出しを一時停止した。2016年のブレグジットの国民投票の直後には、7社が同様の事態に陥った事がある。今回の混乱は主因はブレグジット懸念だが、モール等の小売用不動産市場の不振もある。

 

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***