変調が本格化しつつある中国の不動産市場

 中国経済はかなり悪く中小の銀行多数にもほころびが広がっています。しばらく前まで「不動産セクター」は唯一の明るいセクターだったのですが、これも怪しくなってきました。

 

 オフィスビルから見てみましょう。主要17都市の空室率は今年に入って急上昇して第3四半期では21.5%となり、そのうち14都市では家賃も下落しています。空室率は上海で18.5%で、フリーレント期間も長くなっています。

 

 武漢で建設中の高さ475mの超高層ビルは、大手デベ・緑地集団による支払いが大幅に遅延し、工事がストップしてしまいました。しかし竣工までもっていけても、武漢の空室率は36%もあります。中国全体では300m以上のビル12件で建築工事が停止しているとされています。

 

 空室を埋める賃借人として、中国でもWeWorkのようなコワーキング会社が急増しましたが、資金繰り難から10か月間で約40社が店じまいしました。ビルは供給過多なのです。

 

 住宅の方は話がややこしくなります。

 

 総論として、中国政府は住宅価格は高すぎると考えているのですが、価格が急落するような事態は避けたいという立場です。景気下落を改善させるためには市場刺激を目的に規制緩和を行いそうなものなのですが、それはきっぱりと否定しています。

 

 北京政府は住宅政策の具体を各地方政府に委ねました。全国をまとめてカバーするのではなく、各地の実情に合わせるためです。市場がスローになっている市が多い中で、規制を緩めたために住宅価格が大きく上昇している市もそこそこあるという、分かりにくい状態になっています。都市部での住宅購入の前提である「都市戸籍」を取りやすくした市も増えています。

 

 その一方で、デベの状態は変です。マンションの売れ行きは悪くはないのですが、資金面の様子がおかしいのです。

 

 図面売りにより手付金を受け取っていながら、同時に借金も大きく増やしています。これでは将来、資金繰りの問題で工事が進まず、マンションが予定通りには竣工しない例が多発するでしょう。デベはブレの大きな住宅事業のヘッジにオフィスビルを用いていたのですが、前述のようにこの方程式は機能しなくなっています。

 

 恒大集団、碧桂園、万科企業、緑地集団といったトップのデベの株価は、4月以降で20%下落しました。

                                                                             ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY-news Vol.55 12月 2019年 掲載