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ブラックストーンの物流用不動産投資に拍車

 ブラックストーンの物流用不動産投資に拍車がかかっている。今回はコロニーキャピタルから物流倉庫のポートフォリオ、59億$(6370億円)を取得した。同社は6月にシンガポールのGLPからアメリカ所在物件群を債務込みで187億$(2.02兆円)で、9月にはカナダのドリーム・キャピタルから西ヨーロッパ所在物件群を62億C$(5640億円)で取得した。

 

 WeWorkはIPOを諦めたがニューマンCEOも辞任となった。あらためて同社の無茶苦茶な経営ぶりが話題になっているが、イスラエルへのプライベートジェットの中でマリファナ・パーティをし、機内に残した「帰りの分」が見つかってしまったことが致命傷に見える。

 

 WeWorkは今後の資金繰りが苦しく、賃借交渉が各所でキャンセルされている。同社は猛烈な勢いでオフィス床を借りていたので、影響は特にニューヨークとロンドンで大きい。ニューヨークのオフィス市場にはすでに軟化の兆しが見られていたことから懸念される。また「売買」の話として、WeWorkがテナントとなっているビル売買がロンドンで流れた。

 

 ソフトバンク(孫CEO)はWeWork問題ですっかり評判を下げ、募集中の1080億$(11.7兆円)のビジョンファンド2に大口の出資しようとする所は皆無だ。WeWork、ウーバー、スラックで大きな評価損が出、米携帯電話のスプリントは合併話が前に進んでいない。ソフトバンクは(日本の個人投資家が思っているほどは)盤石ではないという話が時々出ている。

 

 ユニゾに対してまずHISが敵対的買収をオファーした所、ソフトバンク系フォートレスがホワイトナイトとして登場した。ところがユニゾは従業員出資の会社が同社の大株主となることを認めてほしい他の要求をフォートレスに行いフォートレスはこれを拒絶、敵対的買収になる可能性が出てきた。またブラックストーンもユニゾへ買収の打診をした模様。

 

 Airbnbが2020年に新規上場する。同社には世界10万市に700万物件がリスティングされ、室料の10%を宿泊者から、3%をホストから取る。WeWorkとは異なり不動産を保有しないので資金需要が小さく、新株売出しを伴わずに上場する「直接上場」を予定している。

 

 女性用低価格衣料品チェーンのフォーエバー21が倒産した。世界で800店、アメリカでは541店舗を展開、そのほとんどがモール内の店舗であり、度重なる大手チェーンの倒産でモール各社が受けるダメージは段々大きくなっている。アメリカのモール数は約1100。

 

 昨年は不調だったアメリカの住宅市場が回復の兆候がある。従来モーゲージ金利が下落したのに住宅市場が回復しないのは「謎」の一つだった。10年前の金融危機後に住宅価格が急落したため、「住宅を所有する事」へのアメリカ人の意識が変わったとも言われる。

 

 中国経済は変調が伝えられ中で、当局はシャドーバンキング等を塞ごうとしているが、これは多額の債務を抱えるデベ各社にとって厳しい話になる可能性がある。例えば大手の碧桂園、恒大地産、万科企業は年末までに800億$(8.4兆円)の返済期を迎える。

 

 香港は抵抗運動が続き、とうとう不動産ビジネスの話はなくなってしまった。

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

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