ロサンジェルス界隈で相次ぐウルトラ豪邸建売り

 ビバリーヒルズの西側のベルエアはアメリカでも屈指の豪邸街で、ここを中心に一戸数十億円以上という「新築ウルトラ超高額建売り住宅」が相次いで建設、販売されています。

 

 価格が価格なので一般向けに大々的に告知されない場合も多く、正確ではないかもしれませんが、ここ一年について私が把握しているのは次の通りです。

 

 一番高い物件の販売価格は1.88億$(205億円)、二番目は1.80億$(196億円)で、三番目は1.35億$(147億円)です。1億$(109億円)という物件はスペイン風のビラで広さは約40,000sqft(1,124坪)、2019年4月竣工予定です。

 

 このクラスの広さになりますと、何をするにも陸上トラック一周分を歩くことになります。「大きすぎる」「ダウンサイズしたい」ということを売却理由にあげる人が多くいます。

 

 専門業者によると、この手の建売りでは投資利益率50%以上を狙っても、実際には30%程度になってしまうとしています。原価70億円のものを105億円で売りに出し、値引きや家具什器、美術品他の販促等で15億円を使うという世界のようで、彼自身、「これはクレイジーなビジネスだ」と認めています。

 

 実際、現在、建築工事が進められている物件の中には、販売価格が5億$(545億円)になるだろうと噂されているものもあります。

 

 既存物件(中古物件)も含めた、世界のウルトラ高額住宅の市場を見てみましょう。

 

 「2,500万$(27.3億円)」以上の物件が存在する市場は世界に17ヶ所あります。この一年間での売買件数は香港が47件、ニューヨークが39件でロンドンがこれに続き、御三家です(ロサンジェルスは入っていません)。これらのウルトラ高額住宅の半分は都市部の物件で、残りはスキーリゾートや別荘地です。

 

 ちなみに今のところ、アメリカで史上最高額となっている住宅取引は2014年に起きた1.37億$(149億円)の物件で、これはニューヨーカーにとっての人気別荘地、ハンプトンで起きました。買主はヘッジファンドの経営者です。

 

 ウォール・ストリート・ジャーナルに載った昨年の高額取引のリストを見ていましたら、驚いたことにトップ5に日本人の名前が出てきました。詳しいことは分かりません。

 

 問題の売れ行きですが、意外なことに住宅市場が悪化している中も、今回取り上げたような「超富裕層向け」の住宅のセグメントはまずまず好調です。世の中は二極化以上に細分化しているようです。

(ドル=109円 2019年1月7日近辺のレート)

                     ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY-news Vol.44 1月 2019年 掲載