いよいよ軟禁覚悟でサウジへ行かざるをえなくなったソフトバンクの孫正義氏

 (以前のブログ)たぶんサウジで軟禁されることになるソフトバンクの孫正義氏

   

         ソニー不動産とWeWorkの共通点

 

     (冒頭の7行だけ本件に関係あるブログ)ソフトバンクがサウジ問題で一挙にヒートアップした。

 

 WeWorkに対して巨額の追加出資を交渉中の孫正義氏に、とうとうサウジとアブダビがブレーキをかけた。

 前回の出資時はWeWorkの時価を200億$(2.2兆円)と評価した。今、交渉中の時価は360億$(4.0兆円)と1.8倍だ。

 一方でそのWeWorkは業容拡大と同時に赤字も大規模に拡大中で、今年の赤字見込みはなんと20億$(2200億円)だ。こんな会社にソフトバンクのビジョンファンドは、既存株主からの株式買い取り100億$(1.1兆円)と増資引き受け60億$(6700億円)の交渉をしている。

 

 これでは同ファンドに大口出資しているサウジやアブダビはあせる。

 大体、両SWF(政府系ファンド)とも、不動産投資は他でいっぱいやっているわけで、ビジョンファンドにはWeWorkみたいなエセIT会社ではなく、まっとうなIT会社に投資してもらいたく、目利きの孫正義氏に資金を委ねたわけだ。

 

 いくらWeWorkが「アマゾンが売るようにオフィスの利用を売る」と言っても、CEOのノイマン氏がことあるごとにフェイスブックのザッカーバーグ氏と並んで登場したがっても、WeWorkはIT企業とは言えない。サウジもアブダビも同社は不動産業の亜種だと見ているし、世界でもそう見るメディアが増えている。

 

 おまけに今回の話は値段も値段、規模も規模というわけだ。

 

 ソフトバンクが今の局面をどう打開するかだが、一番まっとうなのは、孫氏がサウジに出向いて、例の独裁的なムハンマド皇太子と会うことだ。常識的にはこれしかない。

 

 ただサウジは多くの点で常識が通用しない国だ。

 孫正義氏がカショギ氏のように殺されてしまうことはありえないが、軟禁程度は覚悟して出向いた方がいいだろう。

 

 ありうる軟禁の形の一つ目は、リヤドの五つ星ホテル、リッツ・カールトン内での軟禁だ。ムハンマド王子は昨年、サウジのセレブ、100数十名の軟禁の際にこのホテルを使っているので、ホテル側も「要人の軟禁」には慣れている。

 もう一つの軟禁は、何らか理由をつけて孫氏からパスポートを預かり、難癖をつけて返さないという手だ。孫氏はサウジから出国できなくなるわけで、これも一種の軟禁だろう。

 

 従来、ソフトバンク傘下のビジョンファンドの投資方針について、サウジ、アブダビほかの出資者は一切口をはさまず、孫氏に一任してきた。

 そのような中で、孫氏はWeWorkという張り子の虎みたいな会社に肩入れしすぎた。なぜあの程度のビジネスモデルに目がくらんでしまったのだろうか?

 

 それは多分、WeWokは売上が伸びていたからだろう。孫正義氏の原風景であるIT業界では、売上の増加がイコール利益の増加という例は多い。

 しかし不動産賃貸業は違う。規模を拡大すれば、例えば新たに賃貸ビルを買えば、そのビルの分の売上は自動的に伸びる。しかしそれが儲かるかどうかは別だ。 

 

 不動産は孫氏にとって異業種だし、金融業も異業種である。今回は不動産業と金融業(ファンド業)の両面にまたがって、つまづいているわけだ。