中国でマンションの販売事務所に既購入者達が押しかける騒ぎが頻発している。

 中国でマンションの販売事務所に既購入者達が押しかける騒ぎが頻発している。販売価格が値下げされたため、「返金」を求める動きだ。上海の他、中小都市でも相当広範囲で起きている模様だが新聞では報じられない上、SNS等、インターネットでこれらを報じると検閲により直ちに削除されてしまう。中国では住宅はセンシティブな問題なのだ。 

 

 中国では「貧民街再開発プログラム」が中小都市各所で実施されていたが、これにより地方都市の住宅市場の活況さが支えられていたらしい事がはっきりした。再開発資金の原資は中国人民銀行のヘリコプター・マネー、即ち「紙幣の増刷(通貨発行量の拡大)」だった。

 

 サウジとソフトバンクとWeWorkの間で、三題噺しが起きている。

 ソフトバンクのビジョンファンドはWeWorkに更に150-200億$(1.7-2.2兆円)を投資しようとしているが、これは「一つの籠に卵を多く入れすぎ」というべきだろう。

 サウジはビジョンファンドの運用成績が良好だとし、第2号ビジョンファンドに、第1号ファンドと同額の450億$(5.0兆円)を出資する方向だ。

 ここでサウジ人ジャーナリストの殺害問題が起き、皇太子を含むサウジ政府に対して世界中からバッシングが起きている。前記の話もどうなるか分からない。

 

 ソフトバンクは「ITと不動産ビジネス」というテーマからも注目される。WeWorkの他、住宅短期転売のオープンドア、住宅仲介のコンパス、中小ホテルのフランチャイザーのオヨ・ルームズ、建設会社のカテラ等、ビジョンファンドは不動産分野に多く出資している。

 

 シアーズが破産法申請をした。資産69.4億$(7770億円)、負債113億$(1.27兆円)であるから、「超大型倒産」というほどの規模ではない。DIPファイナンスも得られ営業を続けるが、規模を一回り小さくして再生となるか、トイザラスのように清算となるかは今後の問題。

 

 アメリカでは第3四半期のモールの空室率が9.1%と、ここ7年間で最大となった。デパートのボントンやシアーズの退店の影響が大きく、また築年数が古いモールが苦戦している。一方でカナダのトリプルファイブはフロリダで全米最大規模のモールを建設中。

 

 アメリカの住宅市場の中で最も不調なのがマンハッタンのラグジュアリーマンションだ。300万$(3.4億円)以上の物件について「売れた戸数」と「市場在庫数」を比べると現在「1:6」とされているが、実態はもっとひどい。一方、超高層マンション群の建設は続いている。

 

ブルックリンで2275万$(25.4億円)の住宅販売が成立した。この予算でならマンハッタンの物件が十分に買える訳で、この売買はブルックリンの住宅地としての評価が確立した事をまた一つ、象徴したものでもある。

 

 ニューヨークで宿泊料が最も高いホテルはマークホテルの二層連結した部屋で、一泊7.5万$(840万円)だ。他に高いところではフォーシーズンズの6.4万$(717万円)、プラザホテルの4.0万$(448万円)、マンダリン・オリエンタルの3.6万$(403万円)がある。

 

 SWFインスティチュートの集計によれば、世界のSWFの運用資産合計は6月末で7.8兆$(874兆円)だった。SWFは以前は主にファンドに出資する形で資金運用をしていたが、最近はファンドにいた人間を引き抜き、自分のところで直に運用する例が増えている。

 

          (ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清 f-ree@88.netyou.jp)