GGPの旧称はジェネラル・グロウス・プロパティーズという。昨年、社名を変更した。130ヶ所前後のモールを所有し、アメリカのSCリート第2位という大手だ。
保有物件の中で日本人に最も知られているのはホノルルにあるアラモアナ・ショッピングセンターだろう。昔は典型的な2核のモールだったのだがその後、何回か大規模な増築を重ねている。GGPは1999年にこれを日本のダイエーから取得した。
さて同社をこのシリーズの第一回目に取り上げたのは、近い将来、同社の名前は消えてなくなる可能性が高いからで、この社名があるうちにご紹介したかった次第である。
この三月、GGPはカナダの大手不動産投資会社、ブルックフィールドにより買収された。たぶん、両社のモール事業が統合された新会社が生まれ、それは世界でも有数の規模のリートになるだろう。
GGPは浮き沈みの激しい会社だった。2009年には破産申請までした。これは当時、アメリカの不動産会社の破産としては最大規模のものの一つだ。この時に救済に入ったのが先のブルックフィールドである。
そのような経緯から、ブルックフィールドは今回の買収以前からGGPの株、34%分を保有していた。昨年11月、同社はGGPの残りの66%分について一株23$で買収をオファーした。これは時価に対して21%のプレミアムが乗せられた価格だった。
交渉の結果、買収価格は23.5$へと僅かだけ引き上げられ、GGP側はオファーを受諾し、ディール総額は150億$(約1.7兆円)となった。実店舗業界にアマゾン他から大変な荒波が押し寄せている中、今回の合意価格の水準については見方が分かれている。
保有SCの評価額が想像以上に低く、ブルックフィールドによる買収価格が予想外に安かったという意見も多い。実際、今回の報で他の大手SCリート株も下落した。SCモールに対する厳しい見方だ。
今後、通常ならば株主総会やデュー・デリジェンスといった一連の買収手続きが進められる。そしてその後、冒頭に述べたようにGGP(ジェネラル・グロウス・プロパティーズ)という名称はたぶん、姿を消すことになるだろう。
ジャパン・トランスナショナル 坪田 清
週刊住宅 2018年7月16日号掲載