世界の不動産制度は「どの国もどこかしら、変」

 前号では「世界から見て日本の不動産制度は『ここが変』」として、3つだけ指摘しました。日本の借地制度は「貸し借り」という言葉がふさわしくない、中古の住宅では築年が古いというだけで非常に安くなる、住宅ローンがノンリコースではない、の3点です。

 

 それでは世界でどの国の不動産制度が最もロジカルで、優れているのでしょうか。残念ながら私が知る限り、世界中のどの国でも不動産制度はどこかかしら「変」なのです。これは奇妙な現象です。きっと不動産に関する権利認識は元来、素朴であるがゆえに歴史とか文化とか風土とか諸事情とかいろいろな要素が絡み合って、制度化しようとするとどこかでこんがらがってしまうからではないかと思います。

 

 ある国の不動産制度と日本の不動産制度を比べようとすると、そもそもの日本の制度自体がかなり変なので、ますますわけがわからなくなります。

 

 私がお勧めしているのは、「その国の制度」と「日本の制度」の比較の際に無関係な「アメリカの制度」をわざと加えて、三カ国比較をする事です。アメリカを加えるのには理由があります。

 

 まず、アメリカでは不動産関係の諸制度についてもオープンに議論がされた上、考え方が整理されている場合が多く、また日本語による平易な解説書も多数あり、さらに英語になりますがタダで簡単に得られる情報の量が圧倒的である点があげられます。「アメリカの場合」を共通言語にして、相手国の制度の議論ができるのです。例えば日本の「借地」と英語の「リースホールド」は意味合いがかなり異なっているのですが、それらと比較して相手国の「借地制度」にあたると、考え方が分かりやすくなります。

 

 また、多くの国には(日本語は無理だが)英語なら使えるという不動産業者や弁護士・会計士/税理士他の専門家はたくさんいます。アメリカの諸制度のあらましを知っておけば、これらの「英語を話せる専門家」とのコミュニケーションが格段に良くなります。

 

 ただし、これはアメリカの不動産制度が制度としてベストだという話ではまったくありません。アメリカの制度も他の国以上に「変」な部分がたくさんあります。それでも比較の際の材料としてはベストなのです。

 

              ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清 

 

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY real-news Vol.20 1月号 2017年 掲載