世界から見て日本の不動産制度は「ここが変」

 世界を見渡し、日本の不動産関係の諸事項で奇妙に見える点を3つ、あげてみましょう。

 

 最も奇妙なのは「借地権」です。貸したものを返してもらうのに「正当な事由なりそれを補完するためのお金が必要」というのは世界的にも類を見ないと思います。

 そもそも借りたものは何はともあれ返すのがノーマルです。日本の借地契約のような関係に「貸す・借りる」という言葉をあてている民族はたぶん皆無で、「借地権」を「リースホールド」と訳すときには注意が必要です。

 ちなみに日本における借地権の問題を議論する際には最低でも明治時代の民法制定時のいきさつ、場合によっては江戸時代の土地制度にさかのぼることが必要なのだそうです。

 

 日本では不動産登記簿が「土地」と「建物」に分かれていますが、これも世界共通ではありません。日本の制度はまるで「土地の売買」と「建物の売買」がばらばらに行われることがそもそもの出発点とされているかのようなしつらえですが、「借地制度」をどういじってもしっくりこない原因の一つはここにあるようです。

 このあたりは、一昔前は外人投資家に問い詰められるとこちらも訳が分からなくなる、鬼門のような分野でした。

 

 年を経る事で「建物」の市場価値が減じる速度、いわゆる「中古建物の築年減価」が非常に大きい事も、日本特有です。欧米諸国では石造りだけではなく木造でも「築年数が古い」という理由で評価額が低くなる事はありません。

 ある中古建物に安い値段が付いたとしたら、それはその家の台所が旧式で薄汚れているからとか、設備の配管が痛んでいるから、雨漏りするからといった理由などによるものであり、「築年数が古いから」ではないのです。

 

 また、一般に「築年数」より「ロケーション(立地)」の方がはるかに重視されます。

 

 もう一つ、日本で特徴的なのは「住宅ローン」が返済不能になった時の取り扱いです。日本では担保となった住宅を処分した上で残債があれば、それは追及されます。

 しかし多くの国では、返済不能になった場合は建物から退去してそれを銀行に引渡せば、それ以上の追及は受けません。住宅ローンも「ノン・リコース」なのです。

 

 意外なことに、住宅ローンがノン・リコースでないのは先進国では日本とスペインくらいです。日本はバブル崩壊からの立ち直り、スペインはリーマンショック、あるいはユーロ国債危機時の金融危機からの立ち直りが遅かった訳ですが、その原因の一つに、この「住宅ローンがノンリコースではない」事が挙げられています。

             ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清 

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY

real-news Vol.19 12月号 2016年 掲載