中国では住宅市場の好転が広がる一方、不動産株は下落

 中国の不動産市場を語る時の基本は、住宅市場です。国家統計局が「70大中都市価格指数」を毎月発表しているので、議論がしやすいのです(正確性には疑問を持たれていますが)。商業不動産市場は非常に大きな問題を抱えているようなのですが、これは別稿にします。

 

 一つの節目となった「70大中都市価格指数・2016年4月分」を見てみましょう。4大メガ都市、すなわち北京、上海、広州、深センは絶好調です。特に深センでは去年暴落した株式市場から投資資金が逃げてきたこともあり、前年同月比で62.4%上昇とバブル気味です。

 

 上海は前年同月比で28.0%上昇です。深セン市と上海市は不動産市場の抑制策に乗り出しました。その効果でしょうか、両市とも「前月比」での上昇はそれほど大きくありません。

 

 北京と広州の前年同月比はそれぞれ18.3%上昇、17.4%上昇です。

 

 注目されるのは、これらメガ4都市の次のクラスの都市にも住宅価格上昇の傾向が広がってきている事です。「前月比」で見た時に価格上昇したのは70都市中で65都市もあり、下落したのは5都市にすぎません。「省都」クラスの都市では、まだ住宅価格が本格上昇していないのに、マンション用地が急騰、土地価格はもうバブル状態ともされています。

 

 しかし「二極化」は依然として解消していません。「65都市で前月比で価格上昇した」といっても、前年比では依然としてマイナスという都市が約半分あります。また地方都市では地方政府が率先して、相当乱暴な仕方で販売をしているとも言われています。大幅な金融緩和下、ローンに関する知識がない農民に対して頭金まで融資して、無理をして買わせてしまうような例です。すぐに不良債権化するであろう事が目に見えています。

 

 株式市場では、不動産株は年初比で約20%下落しています。投資家は今の住宅価格上昇は長続きしないと見ているわけです。これも気になる話と言えます。

 

 総括すると、中国の住宅市場は表面的には改善に向かいつつありますが、一方で問題含みでもあるようです。

 

            ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY

real-news Vol.14 7月号 2016年 掲載