地下鉄サリン事件の日の朝の私

 地下鉄サリン事件が起きたのは1995年3月20日というから、もう21年前だ。

 

 あの日の朝のことは未だに鮮明に覚えている。

 

 私は、その日も普通の出勤日、しかしいつもより少し早目に家を出た。

 

 いつものとおり、東急東横線から地下鉄日比谷線の始発に中目黒で乗り換え、当時の私の定位置であった先頭車両の一番後ろの4人掛けの席に座って、本を読んでいた。

 

 ふと気が付くと、乗った地下鉄が六本木駅で停車したまま動く気配がない。

 

 しばらくして車掌さんが「日比谷線は全線、止まっていて運転再開の見通しが立たない」とアナウンスをするのだが、明らかに普段と違う声色だった。

 

 この時、サリンはすでに日比谷線車内でもまかれ、六本木駅の2つ先の霞ヶ関駅で地下鉄は停車し、歴史に残る大惨事の現場の一つになっていた事を後で知る。

 

 あわやその車両に乗り合わせていた可能性があったなどという事はつゆ知らず、私は六本木駅を降りて徒歩数分の地下鉄千代田線の乃木坂駅まで歩く事にした。

 

 千代田線はいつも通り、動いていた(後で考えると不思議だ)。

 

 妙に乗客の数が少ない等、何か気配がいつもと違うなとは思ったが深く考えず、また本の続きを読み出し、気が付くと日比谷駅だった。

 

 この時、またかすかに「あれ、もう霞が関駅を過ぎていたんだな」と思った。慣れない電車だったので降りそこなわないように、今、どの駅なのかは軽く意識していたのだ。

 

 あとで、当時、千代田線は霞ヶ関駅は止まらずに通過して運転していたと知る。

 千代田線の社内で撒かれたサリンは、車内から駅のホームに蹴りだされたのではなかっただろうか?

 

 なんにしても日比谷線車内、千代田線霞ヶ関駅と、2回もサリンをかすった訳だ。

 

 そして、会社についてしばらくして、テレビでこの日の大事件を知ったのだった。

 

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