アメリカで二極化する好調なSCと不調なSC

 アメリカのSCリート上位三傑は1位サイモン・プロパティ、2位ジェネラル・グロウス・パートナーズ、3位メイスリッチなのですが、その1位が3位に対して敵対的買収を試みるという事件がこの3月に勃発しました。結局、このM&A話はメイスリッチ側からの根強い抵抗にあい、実現に至りませんでした。

 

 一般論としてアメリカのSC業界の業績は下降気味なのですが、その中でサイモン・プロパティとメイスリッチは例外的に好調です。アメリカのSC業界が不調に陥った当初の原因は、リーマンショックをきっかけとする個人消費の減退でした。

 

 その後、アメリカ経済はかなり回復、しかしそこへ新たな厄災が降りかかります。コストコ他の低価格路線のチェーンの拡大も痛いのですが、「インターネット通販」の加速度的な広がりから受ける影響も深刻です。直撃を受け、閉鎖店舗がいくつもある、中には閉鎖店舗の方が多いSCも出てきました。店が開いていない訳ですからお客様が来るわけもなく、このような状態を「ゾンビ化」と呼びます。昔、SCがゾンビ化する原因は、近傍にそのSCを大きく上回る新しいSCが出来てしまう事でした。大型のSCの方へ行けば既存のSCの品ぞろえは全部ありますから、もう小さな方には誰もいかなくなる訳です。

 

 ところがインターネット通販に対しては店が「大きい」だけでは対抗できません。今、この打撃をもろに受けている所が多いのです。

 

 そのような中、サイモン・プロパティとメイスリッチのSCは好調な訳ですが、両社に共通しているのは高級路線のSCだという事です。これは非常に示唆に富む話です。「高級路線のSC」の主たる顧客層である高額所得者は、買い物の際に事前にインターネットで深く調べたりせずに、店舗での店員さんのアドバイスや、実物同士の見比べで決断する傾向が高い事が分かっています。

 

 高級路線のSCには「インターネット通販」では代替できないものがある可能性があるようです。

                       ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY real-news Vol.4 9月号 2015年 掲載