ハワイのアラモアナSCは今では全米第16位の規模ですが、昔は全米最大だった時期もある巨大SCです。その25%持分が13.7億$(1660億円)で売却される事が3月に報じられました。売主は米SCリート第2位のジェネラル・グロウス・プロパティーズです。 100%持分に換算するとなんと54.8億$(6630億円)になりますが、この物件の過去の売買価格を知る者にとっては、驚異的な価格です。
昔、この超巨大SCを開発したのはハワイの海洋土木が本業のデリンガムという会社です。同社は副業として同SC以外にも中小の不動産をいくつも保有していました。しかし多額の不動産の含み益が株価に反映されていないとして活動家株主からの攻撃を受け、すべての保有不動産を売却して株主に還元することにしました。アラモアナ・ショッピングセンターはその際の目玉物件として売りに出されたわけです。1982年に行われた入札の1番札はダイエーの3.2億$(387億円、当時のレートで約800億円)で、2番札より約1億$(121億円、当時のレートで約240億円)も高いものでした。
その後、ダイエーは1999年にこのSCを約8億$(968億円)で先のSCリート、ジェネラル・グロウス・プロパティーズに売却しました。この間に増床等、そこそこの追加投資をしているので、単純に3.2億$(387億円)が8億$(968億円)になった訳ではありませんし、それが今回単純に54.8億$(6630億円)の評価になった訳ではありませんが、それぞれ大変な利益を得たことは間違いありません。なおジェネラル・グロウス・プロパティーズは同SCで現在も大規模増床の工事中です。
ちなみにダイエーは1990年代後半から経営悪化が表面化、後に経営破綻しました。ジェネラル・グロウス・プロパティーズも2009年に経営破綻した後、ファンドのブラックストーンの手で再生に成功し、現在に至っています。
($=121円 8月28日近辺のレート)
ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清
三井不動産リアルティ㈱発行
REALTY real-news Vol.4 9月号 2015年 掲載