2016年5月執筆実績ブログ

世界の大都市、各所で住宅価格に変調

 世界の各地で非常に高くなっていた住宅価格ですが、変調が起きています。

 

 香港では昨年9月をピークに下落が始まり、今年3月の時点で10%強の下落、年内にさらに2割から3割下がると見られています。香港の住宅価格は中国人による投資が主因で、12年間で4.7倍になっていました。香港は伝統的にアップダウンが激しい市場です。

 

 過去7年で住宅価格が2倍になったシドニーでは、昨年11月から価格下落が報じられ始めました。シドニーの住宅価格の上昇をけん引したのも、大陸の中国人のマネーです。

 

 バンクーバーでは住宅購入の3分の1が中国人だったようだということが判明しました。ここでももうじき価格下落が始まりそうな気配です。

 

 ロンドンではメイフェア、チェルシーほか所在の最高級クラスの住宅が不振に陥っています。価格は前年比で4割下落しましたが、それでも売れていません。

 主因は非常に高額な税金がかかるいわゆる「豪邸税」の影響と、従前、このクラスの住宅を買っていたロシア勢、中国勢、中東勢の買いがなくなったからです。

 一方、一般の住宅は4月から適用になる「投資用等の住宅購入についての印紙税の引上げ」が原因で制度導入前の投資家の駆け込みがあり、3月の時点では市場は上昇を続けています。

 

 ニューヨークでも、昨年半ばくらいまで非常に好調だった数億円程度以上の超高級マンションの販売が、スローになっています。最大の原因はやはり買主がいなくなった事と、供給過多です。

 市況悪化の中、このクラスのマンションは販売が相次いでいるのです。また売れた物件のうちかなりの数を、実需ではなく投資家が買っていたことが最近になって分かりました。これらが賃貸化される見込みと、売れ残り新築超高額マンションについても賃貸化される可能性が高いことから、近い将来、ゴージャスな賃貸マンションは大幅な供給過剰になりそうです。

 一方、一般の住宅市場の方は順調です。主因はローン金利の低さと雇用市場の好調さ、市中の在庫不足です。

 

 いま、住宅価格が急騰しているのは、中国のメガ都市群です。前年比の価格上昇率は2月、深センで57%、上海で21%で、当局は規制に乗り出しました。

 一方、地方都市には依然として大量の売れ残り在庫があり、二極化しています。年明け以降、住宅市場の回復がメガ都市以下の大都市にも広がっていますが、地方都市には勢いは及んでいないのです。

 

            ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

 

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY real-news Vol.12 5月号 2016年 掲載

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