執筆実績2015年7月

王女誕生にわくロンドンは、投資も活発だった! 

  ヨーロッパの不動産市場で海外からの投資を最も多く受け入れている国は断トツにイギリスで、これにフランスとドイツが続きます(ちなみに直近で海外からの不動産投資が急増しているのは、元気をとり戻し始めたスペインです)。ロンドンには世界中からの投資資金が集まっています。日本からは見えにくい投資元としては、ロシア、ブラジル、カタール、南アフリカなどがあります。四カ国とも、いわゆる「資源国」です。

 

  ロシア人はロンドンの高級住宅を買いあさりましたが、ペーパーカンパニー名義や信託名義で取得されるものが多く、うさんくさく見られてもいます。ブラジル勢は昨年11月にシティにある「タケノコ」に似た外観の名物ビルを7.26億£(1408億円)で買いました。このビルは地元では「ガーキン(きゅうり)」というニックネームで呼ばれ、再保険大手のスイス・リが入居しています。

 

  カタールはテムズ川沿いに建つ「ザ・シャード」というヨーロッパで一番背が高いビル(87階建て・310m)の建築資金を出し、他の多数の不動産や有名デパートのハロッズ、さらにサッカークラブも買収、、FIFAでわいろ疑惑が取りざたされている2022年ワールドカップの開催権も取得し、一時期まで、向かう所、敵なしでした。しかし例えばその「ザ・シャード」はこの7月で竣工から2年が経ちますが、オフィス部分は未だにがら空きです。

  カタールは「今後は商業的な採算も考慮して投資先を決める」という趣旨の発表をし、世界を苦笑させました。

 

  ロンドンでは住宅市場も、昨年の半ばごろまでは上昇の一途でした。しかし8月頃から勢いが消え、秋にはデータ上も勢いが鈍ったことがはっきりしました。これは政府による住宅ローン規制や豪邸税(豪邸にだけかける税)導入問題などの影響もあります。

(£=194円 6月26日近辺のレート)

                       ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY real-news Vol.2  7月号 2015年 掲載

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GEリアルエステートが世界の全不動産、300億$(3.69兆円)分を一括売却

 昨年11月にGEリアルエステートの日本部門(日本GE)がマンション約1万戸強を1900億円でアメリカのファンド大手ブラックストーンに売却した話は、世界的な話題になったのですが、それがもっと大きな話の前触れであった事が今年4月に明らかになりました。

 

 GEは日本所在の不動産だけ売り払うつもりだったのではなく、世界中に保有する不動産全てを売る事にしていたのです。その額、総額で約300億$(3.69兆円)です。売り方も豪快で、前出のブラックストーンが丸ごと一括で購入します。昨年の日本のマンション・ポートフォリオ売買は、GEとブラックストーンのいわば「お手合わせ」だったようです。さらにこの話はGEがジャック・ウエルウチCEOの時代に急拡大させた巨大金融子会社・GEキャピタルを通じて行ってきた金融業から、ほぼ完全撤退するという話の一環でもあります。

 

 まだ不動産部門が独立していなかった「GEキャピタル」の時代、同社は日本で巨大不動産投資をしました。1999年に破たんした東邦生命が保有していた不動産のバルク買いがそれで、看板ビルは渋谷の坂の上に建つ非常に瀟洒な同社の本社ビルです(このビルはその後「渋谷クロスタワー」と名を変えて、後にあるリートに売却された)。このディールは日本不動産市場への外資、ハゲタカの登場という意味でも、とてもショッキングなものでした。

 

 GEリアルエステートという会社は不思議な会社で、前述のように300億$(3.69兆円)もの不動産を保有していたにもかかわらず、少なくとも近年は新聞に載るような著名ディールをした事がない筈です。日本での賃貸マンションポートフォリオも地道な開発なり取引なりを重ねて築き上げた物だと思われるのですが、海外でも耳目を引く「トロフィー型不動産」には目もくれず、現地の実情に合わせて中小規模の投資を積み重ねていたのではないかと思われます。

($=123円 6月26日近辺のレート)

                       ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清

三井不動産リアルティ㈱発行

REALTY real-news Vol.2 7月号 2015年 掲載

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